
はじめに
Day1・2で「なぜ任せるか」「どこまで任せるか」を整えました。
Day3では、いよいよ実装です。
最短距離は、求人→選定→契約→引継ぎの4ステップをテンプレに沿って淡々と進めること。
お金にまつわることが苦手でできないのなら、できる人に正しく任せる。
今日はその“正しく”の具体です。
本記事は一般情報であり、税務・法務等の助言ではありません。契約関連は専門家(弁護士・税理士)への確認を推奨します。
1. 求人(ジョブポスト)の作成
応募の質は、求人票の明確さで8割決まります。下記をそのまま使えます。
【役割】オンライン秘書(お金周り支援)/ 記帳アシスタント 【目的】請求・入金照合・経費整理・会計入力の安定運用 【主要タスク】請求書発行/送付、入金照合、レシート回収・仕分、クラウド会計入力、週次レポート 【成果物の基準】エラー率<1%、締め日厳守、差異報告24h以内 【ツール】会計:○○、請求:○○、共有:Google Drive、PW管理:○○ 【必須要件】実務経験1年以上/守秘義務遵守/平日日中の連絡可 【歓迎】会計知識/税理士事務所での補助経験/ダッシュボード作成 【体制】閲覧・編集・送金の権限分離(送金は本人側) 【稼働目安】5〜15時間/月(繁忙期増) 【報酬形態】時給 or 固定+出来高(応相談) 【選考】書類→ミニ課題→面談→試用2〜4週間 【応募方法】実績/使用ツール/週の対応可能枠を添えてご連絡ください
- 成果物の基準(Doneの定義)を数値で明記
- 秘密保持(NDA)・権限分離の方針を明記
- 試用期間と評価軸を最初から提示
2. 選定:書類→課題→面談
2-1. 書類チェック表
| 観点 | 見るポイント |
|---|---|
| 再現性 | 同様のタスク実績があるか(請求・入金・記帳) |
| 精確性 | 誤字脱字、金額表記、固有名詞の扱い |
| セキュリティ | NDA経験、2段階認証の運用経験 |
| コミュニケーション | 返信速度、要点箇条書き、過不足のない質問 |
2-2. ミニ課題(30〜60分)
- ダミー請求3件の発行チェック(差異指摘)
- 入金照合の手順書(5ステップ)作成
- レシート10枚の勘定科目案(根拠つき)
課題は実データを使わず、ダミーデータのみ。個人情報を含めない。
2-3. 面談質問リスト(抜粋)
- 「請求→入金→経費→記帳」の理想フローを3分で説明してください。
- 過去のヒヤリハットと、再発防止策をどう設計しましたか?
- 権限分離とアクセスログ確認の運用例を教えてください。
- 繁忙期の優先順位付けルールは?締め日と例外処理の扱いは?
2-4. 評価基準(スコアカード)
| 項目 | 配点 | 評価の目安 |
|---|---|---|
| 正確性 | 30 | 課題のエラー数、セルフチェックの痕跡 |
| 守秘・安全 | 20 | NDA/2FA/ログ監査の理解度 |
| 納期遵守 | 20 | 提出時刻・コミットの一貫性 |
| 改善力 | 20 | 手順の明確化提案、SOP更新案 |
| 相性 | 10 | 価値観・レスポンスの温度 |
価格だけで決めない。正確性×納期×安全のバランスが最重要です。
3. 契約:NDA/基本契約/個別契約
契約は「秘密を守る(NDA)」「関係を定義する(基本契約)」「仕事ごとの条件を決める(個別契約)」の3層で考えます。
| 文書 | 主な内容 | チェックポイント |
|---|---|---|
| NDA | 秘密情報の範囲/目的外利用の禁止/返却 | 期限、第三者提供の可否、違反時の対応 |
| 基本契約 | 業務範囲/報酬/支払条件/再委託/損害賠償 | 再委託の制限、著作権/成果物の帰属 |
| 個別契約 | 具体タスク/SLA/KPI/納期/試用 | 試用終了条件、更新・解約の手順 |
- 送金は本人実行(外注は起票・照合まで)
- 2段階認証・パスワード管理ツールを契約条項に
- アクセス権限の付与/剥奪の手順を明記
4. 引継ぎ:SOPと初月運用計画
4-1. 初月の週次スケジュール(例)
| 週 | 目的 | 主なタスク | 合意済みの基準 |
|---|---|---|---|
| Week1 | 環境構築 | NDA/契約、ツール招待、権限設定、SOP共有 | ログイン成功、閲覧/編集の確認 |
| Week2 | 並走 | 請求・入金の実演→実施、ダブルチェック | エラー0、締め日厳守 |
| Week3 | 部分委任 | 経費・記帳の担当移譲、週次レポート提出 | 差異報告24h以内 |
| Week4 | 評価 | KPIレビュー、改善点・更新SOPの合意 | 試用終了判断・次月計画 |
4-2. SOPサンプル(請求→入金照合)
1) 毎週火曜12:00までに請求書案作成→ドラフト共有 2) あなたが12:00–15:00で承認/修正 3) 15:00に送付、送付記録を台帳に反映 4) 金曜17:00に入金照合、差異は赤字で報告 5) 未収は月末3営業日前に一次督促(雛形No.03)
4-3. ダッシュボード(最低限)
- 請求件数/金額
- 入金遅延件数
- 証憑回収率
- 仕訳エラー率
- 月次締めの達成状況
「見える化」できない外注は、いずれ不安になります。数値で会話しましょう。
5. 社会的証明:ミニ事例
Case A:個人セッション中心(週次運用)
請求・入金照合・経費整理を外注。月15時間→5時間へ。新講座準備に時間投資でき、3ヶ月で売上が安定。
Case B:講座運営(繁忙期あり)
募集期のみ固定+出来高に変更。SOPで増員しやすくし、ミス率を抑えたまま2倍の受講生に対応。
結果は一例です。効果は体制・商品・価格によって変動します。
FAQ
Q. 相場はどれくらい?
A. 業務量・難易度・体制で幅があります。時給/固定の両案を出し、KPIとSLAで成果に紐づける設計が無難です。
Q. 途中で合わないと感じたら?
A. 試用期間中に評価基準で対話し、改善→難しければ契約に基づき終了。引継ぎ手順は事前合意しておきます。
Q. 情報漏えいが心配です。
A. NDA、最小権限、2段階認証、アクセスログの月次確認。送金は分離、共有はパスワードマネージャで。
まとめ:テンプレで淡々と進めるのが最短
外注は「人探し」ではなく「仕組みづくり」。求人→選定→契約→引継ぎをテンプレで回せば、正確性・納期・安全が揃います。 お金が苦手なら無理をせず、できる人に任せる。その代わり、数値とSOPで会話し続けましょう。次回Day4は、権限・監査・KPIで “安心運用”を固めます。