
スクール・講座でやりすぎない:一緒に進めるセッション設計【Day3】
※本記事はDay1・Day2の続きです。
Day1では「おせっかい」とプライバシーの境界線、Day2では「心配しすぎないヒアリング」の基本ステップを整理しました。
Day3では、それらを前提にしたうえで、セッションや講座の具体的な進め方を形にしていきます。
はじめに:「先生が全部決めるセッション」から卒業する
スピ系のセッションや講座では、講師側が流れを主導することが多くなります。
それ自体は悪いことではありませんが、流れを全部講師が決めてしまうと、
- クライアントが「ついていくだけ」になる
- 意見や違和感を挟みにくい雰囲気が生まれる
- 「先生に任せておけばいい」という依存が強くなりやすい
といった状態につながりやすくなります。
さらに、「先回りして世話を焼く」「先を視て勝手に伝える」といったおせっかいがセッション設計に入り込むと、
クライアントのプライバシーや選択の自由が、気づかないうちに侵害されてしまうこともあります。
Day3では、「一緒に進めるセッション設計」をキーワードに、
- 安心して参加できるセッション・講座の基本フロー
- やりすぎないための言葉がけの工夫
- やってはいけないNGパターン
- スクールや講座全体の設計で境界線を守る方法
を具体的に見ていきます。
記事の最後には、セッション進行のサンプル台本を受け取る方法と、講座やスクール全体の設計を一緒に整えたい方向けの個別相談についてもご案内します。
1. セッションは「先生が引っ張る場」ではなく「一緒に進む場」
まず、前提として確認しておきたいことがあります。
それは、セッションや講座は「先生が全部決めて引っ張る場」ではなく、「クライアントと一緒に進む場」だということです。
1-1. 講師の役割は「舵を奪う」ことではない
スピ講師は、つい「導く側」として、自分が舵を握らなければと感じやすくなります。
ですが、クライアントの人生の舵は、どこまでいってもクライアント本人の手の中にあるのが自然です。
講師の役割は、
- 視界を少しクリアにするライトを当てること
- 本人が握っている舵を、安定して持てるようにサポートすること
- 「どの方向に進みたいか」を一緒に確認すること
であり、舵そのものを奪うことではありません。
1-2. 「全部おまかせ」されても、境界線は維持する
クライアントによっては、「先生に全部おまかせしたいです」「決めてもらった方が安心です」と言う場合もあります。
ここで、全部を引き受けてしまうと、依存を強めるセッションになりがちです。
そんなときこそ、
- 「一緒に決めていきましょう」
- 「いくつか提案するので、その中からしっくりくるものを選んでください」
という言葉がけで、本人の選択権を戻すことが大切です。
1-3. 先回りや「勝手に視る」をセッション設計から外す
セッションの設計段階で、無意識に
- 「最初に講師が未来を視て伝える」
- 「講師が問題の本質を当てていく」
という流れを組み込んでしまうと、どうしても、先回りやプライバシーの侵害につながりやすくなります。
Day3では、先回りせず、勝手に視らず、それでもクライアントの変化につながるセッション設計を考えていきます。
2. 安心して参加できるセッション・講座の基本フロー
ここでは、個人セッション・少人数講座・スクールのいずれにも応用できる、基本的な進行フローを紹介します。
ベースとなる流れは、次の6ステップです。
2-1. ステップ0:場の前提と「扱わないこと」を共有する
セッション開始時、もしくは講座・スクールの初回では、まず次のような前提を言葉にして伝えます。
- クライアント自身の選択を尊重する場であること
- 講師が勝手に未来や家族を視ることはしないこと
- 話したくないことは話さなくて良いこと
これは、「先回りしたおせっかいはしません」という宣言でもあります。
最初にこうした前提を伝えることで、クライアントは安心して自分のペースで話しやすくなります。
2-2. ステップ1:今日のゴールを一緒に決める
次に、「今日この時間を使って、どこまで行けたら一番いいか?」を一緒に決めます。
- 「今日はどんな時間になると、一番よかったと思えそうですか?」
- 「この60分の中で、特に大事にしたいテーマはどこですか?」
こうした問いを通じて、今日のゴールをクライアントと共同で設定していきます。
2-3. ステップ2:Day2で整理した流れを意識したヒアリング
ここで、Day2で整理した、
- 事実・状況
- 感情
- 望み
の3つを意識しながら、クライアントの話を丁寧に聴いていきます。
この段階では、まだスピ的な解釈や未来の話には飛ばないことがポイントです。
「先を視ること」は、あくまでゴールと状況が見えてから、必要に応じて行っていきます。
2-4. ステップ3:合意した範囲でワーク・リーディングを行う
ヒアリングを通じて、今日のゴールと今のテーマが見えてきたら、次のように確認します。
- 「ここからは、ワーク(もしくはリーディング)を使いながら、少し深めていきたいのですが、よろしいですか?」
- 「いくつか方法がありますが、AとBのどちらがしっくりきますか?」
ここでも、講師が勝手に進めるのではなく、クライアントと合意を取りながら次のステップへ進むイメージです。
2-5. ステップ4:振り返りと「本人の言葉」でのまとめ
ワークやリーディングのあとは、必ず振り返りの時間を取ります。
- 「今日の中で、一番印象に残っていることは何ですか?」
- 「気づいたことや、感じたことを、言葉にできる範囲で教えてもらえますか?」
特に、「講師の言葉」ではなく、「クライアント自身の言葉」でまとめてもらうことが重要です。
これにより、セッションで得た気づきが、本人の中に根を下ろしやすくなります。
2-6. ステップ5:次の一歩を「小さく」決める
最後に、「今日の気づきを、日常の中でどう活かしていくか」を一緒に確認します。
- 「この一週間の中で、できそうな小さな一歩は何ですか?」
- 「その一歩を実行するとき、自分へのどんな声かけがあると支えになりそうですか?」
無理に大きな変化を促すのではなく、本人が「できそう」と思えるサイズの一歩を一緒に見つけていきます。
3. やりすぎないための「言葉がけ」実例集
同じ内容を伝えるにしても、言葉の選び方によって、おせっかいにもなれば、尊重にもなります。
ここでは、「やりすぎになりやすい言葉」と「境界線を守る言葉」を、対比しながら見ていきましょう。
NG寄りの言葉がけ
- 「あなたは◯◯するべきです。」
- 「本当の原因は◯◯なんです。」
- 「◯◯しないと、きっと後悔しますよ。」
- 「視えたことを言いますね。」(許可なく)
- 「その選択はやめた方がいいです。」
境界線を守る言葉がけ
- 「一つの案として、◯◯という選択肢もあります。」
- 「私にはこう見えているのですが、ご本人はどう感じますか?」
- 「いくつか可能性はありますが、どれが一番しっくりきますか?」
- 「少し別の視点もあるのですが、お聞きになりますか?」
- 「この選択について、今どんな気持ちですか?」
3-1. 「断定」ではなく「提案」として伝える
「〜するべき」「〜に違いない」と断定すると、クライアントは自分の感覚よりも先生の言葉を優先しやすくなります。
その代わりに、「一つの案として」「可能性の一つとして」と前置きすることで、選ぶ主体はクライアントであることを守りやすくなります。
3-2. 「不安をあおる」言葉を控える
「そうしないと危ないですよ」「このままだと◯◯になりますよ」と不安をあおって行動を促すやり方は、短期的には動いてもらいやすいかもしれませんが、
長期的には依存や恐れの強い関係を生みやすくなります。
代わりに、「こうすると、どんな良さがありそうですか?」とクライアントの中からメリットを引き出す質問に切り替えていくと、
自分で選び、自分で進む感覚を取り戻しやすくなります。
4. やってはいけないNGパターンとその理由
ここでは、セッションや講座の場で特に避けたいNGパターンをいくつか挙げ、その理由を整理します。
4-1. 許可なく「先を視る」「家族を視る」
これはDay1・Day2でもお伝えした通りですが、あらためて整理します。
- 本人が望んでいない未来の情報を一方的に伝える
- 家族やパートナーのことを勝手に視てコメントする
これらは、クライアントとその周囲の人のプライバシーの侵害につながります。
「視えたから」「感じたから」といって、勝手に境界線を越えていい理由にはなりません。
4-2. 受講生の「シェア」を強要する
グループ講座やスクールでは、「感じたことをシェアしてください」と声をかける場面があります。
それ自体は悪くありませんが、「全員必ず話してくださいね」とシェアを強制すると、話したくない人の境界線を越えてしまうことがあります。
代わりに、
- 「話せる範囲で大丈夫です」
- 「言葉にしづらい方は、ノートに書くだけでもOKです」
というように、選択肢を用意した上で声かけをすることが大切です。
4-3. セッションの外で、境界線を曖昧にする
たとえば、
- 個人メッセージでの相談に、際限なく応じ続ける
- 「気になったから」と、セッション外で勝手に視てアドバイスしてしまう
こうした関わりは、一見親切に見えても、お互いの境界線を曖昧にしてしまう原因になります。
セッション外の関わりについては、
- どこまでを有料セッションの範囲とするのか
- どの程度なら「一言返信」としてお受けするのか
をあらかじめ自分の中で決めておき、クライアントにも必要に応じて共有しておきましょう。
5. スクール・講座の「設計」で境界線を守る
ここまで見てきたことは、個々のセッションだけでなく、スクールや講座全体の設計にも反映できます。
5-1. 事前説明ページに「やらないこと」も明記する
講座やスクールの募集ページには、「何をするか」だけでなく、
- 先回りして未来を断定することはしない
- 家族やパートナーを勝手に視ることはしない
- 話したくないことを無理に聞き出すことはしない
など、「やらないこと」も明記しておくと、境界線の感覚が伝わりやすくなります。
5-2. グループワークのルールを最初に共有する
グループでのシェアやワークがある場合、初回に次のようなルールを共有しておきましょう。
- 聞いた話を、許可なくグループの外で話さない
- 相手の話を勝手に解釈してアドバイスしない
- 話したくないことは話さなくて良い
こうしたルールは、講師が一人で守るのではなく、場にいる全員で境界線を守るための土台になります。
5-3. 個別サポートとの線引きを明確にする
講座やスクールの中で、個別相談にどこまで応じるかも設計段階で決めておきます。
- 「全体の場で扱うこと」と「個別セッションで扱うこと」を分ける
- 深いプライベートな内容は、原則として個別セッションで扱う
こうした線引きを事前に説明しておくと、グループの場が重くなりすぎることを防ぎつつ、個別のプライバシーも守りやすくなります。
6. ミニワーク:自分のセッション進行をシンプルに描き出す
最後に、あなた自身のセッションや講座の進行を、シンプルなフローとして書き出してみましょう。
6-1. 現在の進行フローを書き出す
ノートや紙に、「今のセッションの流れ」を次のような形で書いてみてください。
- 開始〜導入
- ヒアリング
- ワーク・リーディング
- まとめ・次の一歩
それぞれのステップで、実際にどんなことをしているか・どんな言葉を使っているかをできるだけ具体的に書き出していきます。
6-2. 「おせっかい度」が高そうなポイントに印をつける
書き出したフローを見ながら、
- 先回りして答えを出してしまっているところ
- 視えたことを許可なく伝えてしまっているところ
- クライアントに選択肢を返していないところ
に印をつけてみましょう。
ここが、これから少しずつ整えていく「改善ポイント」になります。
6-3. 新しいフローの「一部」だけでも書き換えてみる
すべてを一度に変えようとする必要はありません。
まずは、
- 導入部分の言葉がけ
- ワークに入る前の許可の取り方
- 最後のまとめ方
のどれか一つで良いので、「新しい言葉」や「新しい進め方」を加えてみてください。
そのうえで、「新しいフローを実践してみた感想」をメモしておくと、Day4・Day5での振り返りにも活かしやすくなります。
6-4. セッション進行サンプル台本を活用する
「自分でゼロから台本を作るのは大変そう…」と感じる方のために、
Day3の内容をもとにしたセッション進行サンプル台本を用意しました。
台本には、
- 導入の一言
- ヒアリングで使える質問例
- ワークやリーディングに入る前の許可の取り方
- まとめと次の一歩の確認のしかた
などが、実際の会話形式で書かれています。
台本は、下のボタンからLINEに登録していただくと受け取れます。
自分のスタイルに合わせてアレンジしながら、「やりすぎないセッション設計」を形にしていきましょう。
※LINE登録後、「セッション台本希望」と一言メッセージをいただければ、台本のURLをお送りします。
自分のセッションに当てはめたメモを送っていただければ、個別に一言アドバイスをお返しすることも可能です(1対1のやり取りのみです)。
まとめ:クライアントと共に進むための「場の設計」
Day3では、「スクール・講座でやりすぎないセッション設計」をテーマに、
- セッションは「先生が全部決める場」ではなく「一緒に進む場」であること
- 安心して参加できる6つの基本ステップ
- やりすぎを防ぐ言葉がけの工夫
- 避けたいNGパターンとその理由
- スクール・講座全体の設計で境界線を守る方法
を見てきました。
先回りして世話を焼かないこと、先を視ることを勝手にやらないことは、
クライアントのプライバシーを守るだけでなく、「自分の人生を自分で選べている」という感覚を支える大切な土台です。
セッションや講座の「設計」を整えることは、講師自身の不安を軽くし、
クライアントとの関係性を長く穏やかに育てていくことにもつながります。
次のDay4では、「無意識のおせっかい」を減らすチェックリストとケーススタディを通じて、
自分のクセをより具体的に見つけていきます。
よくある質問
- Q. セッションの流れを細かく決めると、自由度が下がってしまいませんか?
-
流れを決めるのは、「縛るため」ではなく、安心できる枠をつくるためです。
ベースのフローがあることで、むしろその中での自由度が上がることも多くあります。実際の現場では、「大枠の流れ+その場の直感」というバランスをとりながら進めていくイメージを持っていただければ大丈夫です。
- Q. グループ講座で、一部の人の悩みが深くなりすぎてしまうことがあります…。
-
そのような場合は、「ここから先は個別の場で扱った方が安全です」と線を引くことも、講師の大切な役割です。
講座の設計段階で、深い個人的なテーマは原則として個別セッションで扱うことを説明しておくと、グループの場が重くなりすぎるのを防ぎやすくなります。
- Q. セッション外のメッセージ相談の線引きが難しいです。
-
まずは、ご自身の中で、
- 「一言返信」としてお受けする範囲
- 「これはセッションで扱いましょう」とお伝えするライン
を決めてみてください。
そのうえで、「この内容は、しっかり時間をとって個別に扱った方が安全なので、セッション内で一緒に見ていきましょうね。」と伝えることで、
クライアントのプライバシーと講師自身のエネルギーを両方守りやすくなります。