
逆向き設計で“できる”を先に決める:スピ講座の設計図【Day2】
Day1では“教える=学習を成立させる”という視点を確認しました。
Day2では、逆向き設計(バックワードデザイン)を使い、最終的に受講生ができることから逆算して講座を組み立てます。
ここで提供するテンプレはダウンロード不要で、記事内をそのままコピペ・編集して使えます。
逆向き設計の基本(目標→評価→活動)
先に「どんな状態になれば合格か(行動で表現できる目標)」を決め、次に「それをどう確かめるか(評価)」、最後に「何を・どう教えるか(活動)」を設計します。
内容から考えると、受講生の不安・不満・質問しづらさが増えがちです。
行動動詞の目標設計リスト
以下はコピペ編集用です。
[○○を3分で説明できる]のように、時間・条件・質を含めて具体化します。
基礎(想起・理解)
- 定義できる/用語を区別できる
- 手順を順序立てて言える
- 例と反例を挙げて説明できる
適用
- 手順どおりに実演できる
- チェックリストを使って自己評価できる
- スクリプトを参照して指導の模擬ができる
分析・評価
- 事例を分類し、選択理由を説明できる
- 誤りの原因を指摘し、修正案を提示できる
- ルーブリックに沿って相互評価できる
創造
- 自分のテーマでミニレッスンを設計できる
- 学習記録を作成し、改善点を述べられる
目標・評価・活動のマッピング表(テンプレ)
目標(行動で表現) | 評価(証拠) | 活動(コンテンツ・方法) |
---|---|---|
○○の定義と手順を3分で説明できる | 口頭説明の録音/スライド1枚 | ミニ講義→ペアで説明→相互フィードバック |
ケースA/Bを基準に沿って分類できる | 分類表+根拠メモ | 事例提示→個人思考→小グループ討議→全体共有 |
自分のテーマで10分のミニレッスンを設計できる | 目標・評価・活動の1枚企画書 | 雛形配布→個別設計→講師巡回→持ち帰り課題化 |
ヒント:「評価が作れない」= 目標が曖昧というサイン。評価が決まれば、活動は自然に決まります。
目次案テンプレ(60/90/120分)
配列はそのままコピーして使えます。各項目に所要時間と評価の瞬間を必ず入れてください。
60分版(集中ショート)
- 導入:目的共有・ルール(5分)
- ミニ講義:重要概念の定義(10分)
- デモ:手順を視覚化(10分)
- 演習1:ペアで説明(10分)★理解チェック
- 事例比較:A/B分類(10分)
- ふりかえり&質問(10分)★匿名質問回収
90分版(標準)
- 導入:目的・評価基準・場のルール(10分)
- 講義+デモ:定義→反例→注意点(20分)
- 演習1:個人→ペア説明(15分)★理解チェック
- 事例討議:小グループ(15分)
- 演習2:ミニレッスン設計(20分)★成果物回収
- ふりかえり:次回までの約束(10分)
120分版(深掘り)
- 導入と場づくり(10分)
- 講義:概念・反例・倫理の確認(25分)
- 演習1:デモ追従→自己評価(20分)★理解チェック
- 事例研究:分類→根拠言語化(25分)
- 演習2:10分ミニレッスン設計(30分)★企画書提出
- 全体共有・質疑(10分)
マイクロ課題と“問い”の仕込み
「質問できない」教室は、問いが設計されていないことが多いです。
以下をそのまま使ってください。
マイクロ課題(例)
- 用語/手順を30秒で説明する(録音OK)。
- 反例を1つ挙げ、なぜ反例かを1文で言う。
- チェックリストで自己評価し、1箇所だけ改善案を書く。
- 10分ミニレッスンのタイトルと目標だけ先に決める。
問いのテンプレ
- 具体:いまの説明を3文で言い換えると?
- 比較:AとBの違いは何か、根拠は?
- 転用:自分のテーマに当てはめると、どの部分が同じ/違う?
- 反例:これは成り立たない状況は?
- 倫理:誤解や過剰な期待を避けるために、何を明確に伝える?
運用のコツ:問いは「スライド左下」「配布資料1枚目」に常時表示。受講生が“いつでも口を開ける”状態をつくります。
安全な場のルール(掲示用ひな形)
そのまま貼り出せる文例です。改変可。
- 間違い歓迎:仮説・試行は価値。笑い・否定はNG。
- 話す順番の保証:ラウンドロビンで全員に1回は話す機会。
- 匿名質問の常設:QRフォーム/チャットで随時受付。
- 根拠の言語化:「なんとなく」はOK、ただし根拠を探す努力を共有。
- 再現可能性:用語・手順・注意点をスライド/板書で可視化。
- 時間の尊重:1人あたりの発言時間を均等に。
- 倫理と限界:体験の個人差と限界を明示。健康・医療の領域は扱わない。
まとめ
逆向き設計は、目標が行動で表現され、評価が透明で、問いが常設された場をつくることで、受講生の不安・不満・「質問できない」を減らします。
次回Day3では、90分講座のスクリプト完全版と、答えられないを防ぐQ&A台本を提供します。
個別のテーマに合わせた設計の微調整は、下記からご相談ください。