
Day2:事前ヒアリングと同意・契約の標準化
Day2は“設計”。クライアントの安全と期待値を守るために、事前ヒアリング→同意・契約→予約運用をひと続きのフローにします。
テンプレを土台に、あなたの実務へ素早く適用しましょう。
目次
事前ヒアリングフォーム設計(質問バンク付き)
初回の充実度は事前情報の質で決まります。
5分で回答でき、当日の焦点が絞れるフォームを目指しましょう。
以下はコピーして使える設問例です。
基本情報(必須)
- お名前(よみがな)/ご連絡先(メール)
- ご希望の呼び方(例:さん/さま)
- 相談の主なテーマ(複数可)
- 本日のゴール(1つ選択):整理/気づき/次の一歩
背景と現在地
- 直近1〜3か月の出来事で重要だったこと
- 困りごとを10点満点で評価(0=問題なし,10=最大)
- 今まで試したことと、効いた/効かなかった点
- 支援に期待すること/避けたいこと
体調・安全の確認
- 睡眠・食事・体調の変化(2週間内)
- 通院・服薬の有無(差し支えない範囲)
- 自傷・他害の衝動の有無(該当時は別途案内)
同意・ポリシー(チェックボックス)
- 提供範囲の確認(医療・法務等は扱わない)
- 守秘と個人情報の取り扱いに同意
- 録音・録画の可否
- キャンセルポリシーの確認
レッドフラッグと専門機関へのリファー基準
境界線の維持には、あらかじめ定めた基準が不可欠です。
下記は実務向けの最小セットです(地域の相談窓口一覧も併せて準備)。
兆候 | 例 | 対応 |
---|---|---|
急性の安全リスク | 自傷・他害の示唆、希死念慮、被害の継続 | 即時の中止・安全確認、緊急相談窓口の案内 |
重篤な精神・身体症状 | 長期の不眠、フラッシュバック、解離症状など | 医療機関の受診を推奨、以降は主治医方針を尊重 |
法的課題 | DV/虐待/ストーキング、債務、労働問題 | 公的支援窓口や法テラス等の案内 |
専門性の範囲外 | 診断の要求、治療法の指示、投資助言 | 提供範囲の再説明、適切な専門家へ紹介 |
実際の紹介先:地域の保健所、女性相談、精神科・心療内科、法テラス、警察相談窓口などを一覧化し、連絡先・受付時間を更新しておきましょう。
同意書・各種ポリシーの雛形
同意書はトラブル予防の第一歩。
以下をベースに、あなたのメニューと運用に合わせて調整してください。
提供範囲と免責(例)
【提供範囲】 本サービスは教育・自己探求・行動支援を目的とし、医療・法務・投資等の専門的判断や治療を提供しません。
【免責】 心身の状態に変化がある場合は必ず専門家に相談してください。
安全確保のため必要な場合、守秘の例外が適用されます。
プライバシー・記録の扱い(例)
【個人情報】 取得項目は最小限とし、利用目的は予約管理・連絡・品質向上に限ります。
保存期間は○か月。削除依頼は(連絡先)。
【記録】 面談メモは匿名化(固有名詞のイニシャル化)し、外部共有しません。
料金・決済・キャンセル(例)
【支払】予約時の事前決済/当日決済(いずれか)。
【キャンセル】 ・48時間前まで:無料 ・48〜24時間前:料金の50% ・24時間以内/無断:100%
【遅刻】15分以上の遅刻は短縮または振替不可。
予約〜リマインド〜当日運用(No-show対策)
欠席・遅刻・勘違いは仕組みで減らせます。
以下は実務で効果の高い最小フローです。
- 予約:自動返信メールに「日時/場所/接続リンク/準備物/キャンセル規定」を明記。カレンダー追加(.ics)を同梱。
- T−48hリマインド:メール+メッセージで案内。フォーム未回答者には短縮版フォームURL。
- T−24hリマインド:接続テストリンク・当日の連絡手段(メール/LINE)を再通知。
- T−2h最終確認:短文メッセージ。「本日○時〜、リンク再送します。ご都合×なら返信を」。
- 当日:5分前入室/録音可否の再確認/冒頭スクリプトで合意。
- 終了後:満足度1問+次回希望の有無。領収書・宿題・次回予約リンクを同封。
テンプレ文例(コピペ可)
【T-48hメール】 件名:ご予約の確認(○/○ 10:00〜) 本文:当日の流れと接続リンク、事前フォーム(3分)をお送りします。
ご負担ない範囲でご回答ください。 【T-2hメッセージ】 本日○時〜のセッションです。
リンク再送:○○。ご事情があれば短文でご返信ください。
データで見る:リマインド有無でのNo-show率
小規模でも、効果検証はできます。下はサンプル(置き換え推奨)です。
条件 | No-show率 | 期間 | N(予約数) |
---|---|---|---|
リマインドなし | 7.8% | 4週間 | 128 |
T-48h+T-2h | 2.9% | 4週間 | 133 |
※母数が小さいほどブレが大きくなります。効果は暫定として、3か月程度のデータで再評価しましょう。
まとめと次のステップ
Day2では、①短時間で要点が集まるヒアリング、②境界線を守る同意とポリシー、③欠席を減らす予約運用、の標準装備を整えました。
まずは雛形をあなたの言葉に変え、今週の予約からテストしてください。
次回はこれらを活かして、60分セッションの台本と進行術を作ります。
次回(Day3)は「実装:60分セッションの進め方(台本つき)」。
冒頭合意→探求→統合の三段で、迷わない進行を実現します。
FAQ
- Q. フォームの質問は多いほど良い?
- A. 初回は5分以内を目安に。深掘りは当日の対話で行い、過度な事前負担を避けます。
- Q. 録音は許可すべき?
- A. 双方の合意と目的を明確に。第三者共有の禁止、保存期間、削除依頼の方法を必ず明記しましょう。
- Q. キャンセル規定が厳しすぎると嫌われない?
- A. 事前に丁寧に説明し、予約時に明確な同意を。T-48hの穏やかなリマインドと併用するとトラブルが減ります。