
支援の現場で起きる消耗の多くは、「相手を変える」という不可能目標への無自覚なコミットから生まれます。本稿では、支援倫理と実務の観点から影響と支配を分け、努力の向け先を自分へ戻します。
自由意思と同意
支援は相手の自由意思に基づく選択を促す営みです。合意のない介入は支配に近づきます。冒頭で範囲を明確にしましょう:「私は医療や法的判断は行いません。今日は現状の整理と“次の一歩”の発見をともに目指します。」
コントロールの輪
- 自分がコントロールできる:自分の注意・態度・言葉・時間配分・境界線。
- 影響はできるが決められない:相手の気づき・解釈・選択。
- 影響できない:相手の過去、第三者の反応、偶発事象。
行動目標は常に最内層(自分)へ再設定します。
善意ゆえの5つの誤解
- 強い説得=変化
- 助言量=愛
- 結果=自分の責任
- 沈黙=失敗
- 感情を背負う=誠実
境界線の言い換え
- ×「必ず良くなります」→ ○「変化の土台づくりはお手伝いできます」。
- ×「私が変えてみせます」→ ○「あなたが選びやすい環境を整えます」。
今日の内省
最近“変えよう”として空回りした場面を1つ思い出し、「自分/影響/無力」の三層に書き分けてみましょう。自分の層にしか行動目標を書かない、を徹底します。