
「講師への講師」という選択肢。経験を教える側に回って時給思考を手放す方法
はじめに:過去の自分に向けて教えるように
Day1・Day2では、 「占いやセッションだけで時間を取られて、単価も上がらずに大変」 という状態から抜け出すための、土台となる考え方を整理してきました。
そして今日は、そこから一歩進んで、 「講師への講師」という新しい選択肢について一緒に見ていきます。
もしかすると、今のあなたはこんなふうに感じているかもしれません。
- 私なんてまだまだだし、人に教えられるほどの実績はない
- 同業のことなんて、とてもじゃないけれど指導できない
- むしろ私が誰かに教えてほしいくらい…
でも少しだけ視点を変えると、 「過去の自分」よりは、今のあなたのほうが確実に経験を積んでいます。
セッションメニューのつくり方、価格の決め方、集客の失敗と成功、
対価を受け取ることへの恐れや罪悪感との向き合い方…。
それらは、今まさに同じことで悩んでいる誰かにとっては、
お金を払ってでも教えてほしい「生きた知恵」になります。
Day3の今日は、自分の経験を「講師への講師」として届ける働き方と、 そこに向かうためのステップを一緒に整理していきましょう。
「講師への講師」とは何か?
クライアント向けと講師向けの違い
まず、「講師への講師」とは、 これまでクライアントさんに向けて行ってきた経験やノウハウを、同じく講師・占い師・セラピストに向けて提供する立場 のことです。
イメージしやすいように、2つを並べてみましょう。
| 対象 | クライアント向け | 講師向け(講師への講師) |
|---|---|---|
| 主なテーマ | 人生・感情・人間関係・自己価値など | メニュー設計・価格・集客・在り方・働き方など |
| ゴール | その人の人生や心の状態を整える | その人の仕事の土台と仕組みを整える |
| 関わり方 | 個人の感情・状況に深く寄り添う | 感情も扱いながら、仕組み・行動にも踏み込む |
どちらが偉い・すごいというわけではありません。 ただ、扱うテーマが変わることで単価や働き方の設計が変わる、というイメージです。
講師への講師になる3つのメリット
「講師への講師」としての働き方には、次のようなメリットがあります。
-
時給思考から抜け出しやすい
講師向けのサポートは、講座・プログラム・コンサルティングという形になりやすく、 単発セッションよりも高めの単価・一定期間の契約となることが多いです。 -
これまでの失敗も「教材」になる
クライアント向けのセッションでは話さなかった失敗談も、 同業の講師にとっては「あらかじめ知っておきたいポイント」になります。 過去の自分を責める材料ではなく、誰かを助ける教材に変わります。 -
自分の成長スピードが上がる
「教える側」に回ることで、 自分の知識やスタイルを言語化する機会が増えます。 その結果、あなた自身のスキルや在り方も、より洗練されていきます。
あなたは「講師への講師」に向いている?チェックポイント
よくあるサインと特徴
実は、「講師への講師」に自然と向いている人には、いくつか共通のサインがあります。 次の項目を読みながら、心の中で「はい」「いいえ」で答えてみてください。
- 同業の友人から、メニューや価格の相談をされることがよくある
- 相談されると、つい真剣に「こうしたほうがいいかも」と考えてしまう
- 自分の失敗談を話すと、相手がとても安心した表情になる
- セッションの中で、「同じテーマの方が多いな」と感じている
- 仕組みや流れを考えるのが、実はけっこう好き
- 「自分と同じことで悩む人が減ったらいいのに」とよく思う
もし3つ以上「はい」があれば、 あなたにはすでに「講師への講師」としての種があると言えます。
「私なんてまだ早い」をほどく視点
それでも、 「講師への講師なんて、とてもじゃないけど私には…」 という気持ちが出てくるかもしれません。
ここで大切なのは、 「誰に対して教えるのか」という視点です。
例えばあなたが、講師として5年目だとします。
その場合、
- これから講師を始めたい人
- 1〜2年目で、メニュー設計や価格で悩んでいる人
にとって、あなたは「少し先を歩いている先輩」です。
大きな実績や有名さがなくても、 「去年の自分より、今の自分のほうが分かることが増えている」のであれば、 それだけで十分、誰かの役に立てる可能性があります。
経験を「メソッド化」して教える側に回るステップ
ここからは、あなたの経験を 「講師への講師」用のメソッドにしていく流れを、3ステップで整理します。
ステップ1:何度も話していることを書き出す
まずは、次のような問いを使って、 ノートやメモに書き出してみましょう。
- クライアントさんに、何度も繰り返し伝えていることは?
- 同業の友人に、よくアドバイスしていることは?
- 自分自身が何度もつまずき、乗り越えてきたポイントは?
ここで出てきた項目が、 後に講座のテーマやカリキュラムの項目になっていきます。
ステップ2:順番をつけて「流れ」にする
書き出した項目を、 「どの順番で伝えると、相手がスムーズに理解・実践できるか」を意識しながら並べ替えてみましょう。
例えば、スピ系講師向けメニュー設計講座なら、
- 現状のメニュー棚卸し
- 理想の働き方・収入のイメージ作り
- フロント商品・バックエンド商品・サブスクの設計
- 価格設定と対価へのマインド
- 告知と募集の流れ
のように、 「今どこにいるか」→「どこへ向かうか」→「どうやって向かうか」 の順番に並べてみると、ひとつの流れが見えてきます。
ステップ3:ミニ講座やワークに変換する
ステップ2で決めた「流れ」に沿って、 それぞれのステップで使える ミニ講座・ワーク・チェックリストを考えていきます。
例として、 「現状のメニュー棚卸し」のステップでは、
- 今あるメニューを書き出すシート
- それぞれの価格・時間・満足度・継続率を記入する表
- フロント/バックエンド/サブスクに分類するワーク
などを用意できます。
こうして、 あなたが普段「感覚でやっていること」を 誰かが真似できる形にすることが、 メソッド化の第一歩です。
イメージしやすいように:架空の事例ストーリー
講師への講師としての働き方を、少しイメージしやすくするために、 架空の事例をご紹介します。
たとえば、Aさん(35歳・スピ系講師・タロット歴7年)の場合。
- これまでは、ほぼすべてが1回5,000〜8,000円の単発セッション
- 月の売上は20〜25万円前後で安定していたが、スケジュールは常にパンパン
- 同業の友人から、価格やメニューの相談をされることが増えてきていた
Aさんは、まず
「スピ系講師のためのメニュー棚卸し・価格相談のスポットセッション」
を始めました。
そこから、
- 3ヶ月でメニューを整える少人数講座
- 講座卒業生向けの継続フォローグループ
を順番に作っていきました。
結果として、
- 単発セッションの枠を少し減らしても、売上はキープどころか少しアップ
- 同じテーマで悩む講師さんたちと関わることで、自分も学び続けられている実感
- 「過去の自分に教えてあげたかったこと」を届けられている感覚から、仕事への満足度が上がった
もちろんこれは架空のストーリーですが、 現実にもこのような流れで 講師への講師にシフトしていく人は少なくありません。
よくある不安とその向き合い方
「講師への講師」に興味を持ったとしても、 実際に動き出そうとすると、さまざまな不安が出てきます。
不安1:「私が教えていいのかな…」
これは、真面目で優しい人ほど強く感じる不安です。 ですが、ここで思い出してほしいのは、 「誰よりもすごい人だけが教えられるわけではない」 ということ。
「過去の自分」と「今の自分」を比べてみて、少しでも進んでいる部分があるなら、 その差分は誰かの役に立つ、という視点に切り替えてみてください。
不安2:「同業から批判されないかな…」
誰かに見られる・評価されると思うと怖くなるのは、自然な反応です。 ですが、 本当に届けたいのは「今のあなたと同じことで悩んでいる人」 であり、 批判する人のために活動しているわけではありません。
最初は、小さなクローズドな場(少人数の講座やグループ)から始めるのもひとつの方法です。
不安3:対価をもらうことへの罪悪感がさらに強くなりそう
同業から対価をいただくことに、 さらに強い罪悪感を感じる方もいます。
ですが、 「その学びが、その人の仕事と収入に直結する」 と考えると、 実はとても大きな価値を渡しているのだと分かります。
対価をもらうことへの恐れや抵抗、罪悪感については、 明日のDay4でしっかり扱っていきますので、 今は「そう感じている自分」を責めずに、そのまま認めてあげてくださいね。
ワーク:あなたの「教えられるテーマ」を発掘するシート
最後に、あなた自身の中にある 「講師への講師」の種を見つけるためのワークをご用意しました。 ノートやメモ帳に書き出してみてください。
-
過去1年で、同業の友人から相談されたことを書き出す
例:
・メニューの価格について
・告知の文章について
・継続セッションの作り方について など -
クライアントさんにも同じように何度も伝えていることを書く
例:
・自己肯定感の整え方
・人間関係の距離の取り方
・お金に対する考え方 など -
「過去の自分に教えてあげたかったこと」を3つ書く
例:
・最初から完璧なメニューを作らなくていい、ということ
・安すぎる価格は、相手のためにもならないこと
・セッションを詰め込みすぎると、結局誰も幸せにならないこと
この3つに共通して出てきたテーマが、 あなたの「講師への講師」メニューの種になっていきます。
まとめ:同じ悩みを抱える誰かの「未来の先生」になる
Day3では、 「講師への講師」という選択肢についてお話ししてきました。
- 講師への講師とは、これまでの経験を同業に向けて教える立場
- クライアント向けと講師向けでは、扱うテーマやゴールが変わる
- 同業からの相談や、過去の失敗談が「教材」になる
- 「過去の自分に教えてあげたかったこと」は、誰かにとっての宝物
あなたが今まで悩んできたこと、時間をかけて乗り越えてきたことは、 決して無駄ではありません。 むしろ、それがあるからこそ、 同じ場所で立ち止まっている誰かの「未来の先生」になれるのです。
もちろん、いきなり大きな講座を作る必要はありません。 まずは、 スポット相談や小さなグループから始めてみること。 そこでの反応を見ながら、 少しずつ「講師への講師」としての軸を育てていけば大丈夫です。
明日のDay4では、 いよいよ 「対価をもらうことへの恐れや抵抗、罪悪感」 というテーマに深く入っていきます。 高単価商品や講師への講師という選択肢に興味が出てきたからこそ、 きっと避けて通れないテーマでもあります。 一緒に、優しく丁寧にほどいていきましょう。
よくある質問
Q1. 実績が少なくても講師への講師になれますか?
はい。大事なのは「誰と自分を比べるか」です。 業界トップと比べる必要はなく、 「過去の自分」や「これから始める人」と比べたときに、 あなたが少し先を歩いている部分があれば、その経験は十分に価値があります。
Q2. 同業に向けて発信すると、嫌われたりしませんか?
すべての人に好かれる必要はありません。 あなたが届けたいのは、 「今のあなたと同じように悩んでいる人」です。 不安であれば、最初はクローズドな場から始めたり、 「興味のある人だけに届く案内」を工夫していくこともできます。
Q3. クライアント向けと講師向け、両方やっても大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。 むしろ、クライアント向けの実践があるからこそ、講師向けにリアルな話ができるという面もあります。 それぞれのバランスや比率は、あなたのエネルギーや理想の働き方に合わせて調整していきましょう。
【行動ステップ】あなたの中の「講師への講師の種」を一緒に見つけてみませんか?
もし今、
- 「講師への講師」という働き方に少しワクワクした
- でも「私なんて…」という不安も同時に出てきた
- 自分のどんな経験が、人の役に立つのか客観的に見てほしい
と感じているなら、 一度、あなたのこれまでの経験と今のメニューを一緒に棚卸ししてみましょう。
LINEでのご相談では、
- あなたのこれまでの活動歴・得意なこと・好きなこと
- 同業からよく相談されるテーマ
- 今感じている不安や、対価を受け取ることへの抵抗
などをお伺いしながら、 「講師への講師になれる種がどこにあるか」を一緒に探っていきます。
下のボタンから、 「講師への講師の可能性について相談したいです」 と一言送ってみてください。 長い文章でなくてかまいません。
明日のDay4では、 高単価商品や講師への講師という選択肢を現実にしていくために欠かせない、 「対価をもらうことへの恐れ・抵抗・罪悪感」 について、具体的なステップを交えてお伝えしていきます。 一緒に、安心して受け取れる器を整えていきましょう。