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スピ講師のための実践編 ─ ヒアリングとフィードバックで「変化の種」を見逃さない【Day3】

スピ講師のための実践編 ─ ヒアリングとフィードバックで「変化の種」を見逃さない【Day3】

はじめに:言葉の奥にある「本音」と「準備状態」を聴き分ける

Day1では、「クライアントがすぐに変化を起こすなんてことがない」という前提を確認し、
Day2では、その前提に基づいた講座・スクール全体の設計について整理しました。

Day3ではいよいよ実践編として、1回1回のセッションや講座の中で使える「ヒアリング」と「フィードバック」の具体的な技術を扱います。

スピ系の現場では、クライアントがこう言うことがあります。

  • 「もう大丈夫な気がします!」
  • 「考え方が変わりました。人生変わりそうです!」

その言葉だけを聞くと、一見「変化が起きたように見える」かもしれません。
ですが実際には、まだ行動が伴っておらず、現実はほとんど変わっていない場合も多くあります。

逆に、クライアント本人は「全然変われていない」と感じていても、
講師から見ると、内側では大事な変化の種が育ち始めている、というケースもあります。

ここで重要なのが、 「変化があるように見えているだけなのか」
「本当にその変化を望み、現実を変える準備ができつつあるのか」
を、ヒアリングとフィードバックを通して見極める力です。

Day3のテーマ
・クライアントの「言葉」と「本音」を聴き分けるヒアリング
・「変わったつもり」と、本当に変わる準備ができた状態の違い
・責めることなく、現実を直視してもらうフィードバックの伝え方

目次

Day3のゴール:会話の質で変化の質が変わる

Day3で目指すゴールは、次の3つです。

  1. クライアントの言葉の奥にある「本音」や「変化への準備状態」を聴き取れるようになる
  2. 「変わったつもり」と「本当に変わる覚悟ができた状態」を見分けられるようになる
  3. 責めることなく、しかし甘やかしすぎずに、現実を伝えるフィードバックができるようになる

実は、スピ系講師の技術の多くは、特別な専門用語よりも、
「どんな順番で、どんな質問をし、どうフィードバックを返すか」という 会話の設計の中に現れます。

ここを整えておくと、クライアントがすぐに0-100で変化しなくても、 今どの段階にいるのか・何が今のテーマなのかを一緒に確認できるようになり、 講師としての安心感もぐっと増します。

ヒアリングの基本原則:問い方で結果が変わる

まずは、スピ系講師として押さえておきたいヒアリングの基本原則を3つに絞って整理します。

原則1:事実・感情・意味づけを分けて聴く

クライアントの話は、多くの場合「事実(何が起きたか)」と
「感情(どう感じたか)」「意味づけ(どう捉えたか)」が混ざっています。

質問の例:

  • 事実:「実際には、どんな出来事がありましたか?」
  • 感情:「そのとき、どんな気持ちになりましたか?」
  • 意味づけ:「その出来事を、どんなふうに意味づけましたか?」

この3つを分けて聴くだけで、クライアント自身が 「自分は事実をどう解釈していたのか」に気づきやすくなります。

原則2:Yes/Noで終わらない問いを増やす

「分かりましたか?」「やれそうですか?」といったYes/Noの質問だけだと、
クライアントの本音や迷いを聴き取ることが難しくなります。

例えば、次のように問いかけを変えてみましょう。

  • 「今の話を聞いて、心に残っている言葉はどれですか?」
  • 「やれそうな感じと、不安な感じ、どちらもあるとしたら、どんな割合ですか?」
  • 「一番ひっかかっているところは、どこでしょう?」

こうした問いは、クライアントの中にある「本当はまだ引っかかっている部分」を丁寧に拾うのに役立ちます。

原則3:講師の「正解」を押しつけない

スピ系の知識や経験が増えるほど、「こうすればうまくいく」というパターンが見えてきます。
しかし、それをそのままクライアントに押しつける」と、クライアントは自分の感覚より講師の答えを優先してしまいがちです。

おすすめのスタンスは、

  • 「私の見立てはこうです。あなたはどう感じますか?」
  • 「いくつか選択肢がありますが、どれが一番しっくりきますか?」

という形で、クライアント自身の選択と責任を尊重することです。
これが、「本当にその変化を望んでいるか」を見極めるうえでも、とても重要な土台になります。

「変わったつもり」を見抜く3つのサイン

次に、クライアントが「変わったつもりになっているだけ」の状態を見抜くためのサインを3つご紹介します。

サイン1:言葉は前向きだが、具体的な行動の話が出てこない

「考え方が変わりました」「前向きになれました」と話すものの、
「具体的に何を変えたのか?」を聴くと、はっきりしないケースです。

こんな質問で確認してみましょう。

  • 「その気づきを受けて、日常で何か変えたことはありますか?」
  • 「この1週間で、新しくやってみたことは何かありますか?」

サイン2:外側の条件が変わらないと動けないと言う

「仕事が落ち着いたら」「家族が理解してくれたら」といった、
外側の条件が整うのを待っているだけの状態も、変わったつもりの一つです。

実際には、条件が整うのを待つだけでなく、今の状況の中でできる小さな一歩が必ずあります。

サイン3:同じ話を何度も繰り返すが、視点が変わっていない

毎回のセッションで、ほぼ同じ話が出てくる場合も注意が必要です。
話してスッキリはしているものの、視点や意味づけが変わっていない可能性があります。

この場合は、「何度も同じ話をしている」こと自体を優しくフィードバックしていきます。

会話例:「変わったつもり」から一歩進んでもらう問いかけ

講師:「考え方が変わってきた、とおっしゃっていましたよね。素敵な変化ですね。」

講師:「その変化が、日常のどんな行動に少しでも表れているか、一緒に探してみてもいいですか?」

クライアント:「うーん…まだ行動はあまり変わっていないかもしれません。」

講師:「正直に教えてくださってありがとうございます。では、
その“変わってきた考え方”を、現実で試すための小さな一歩を、一緒に決めてみましょうか。」

本当にその変化を望んでいるかを確かめる質問テンプレ

クライアントの「本気度」や「覚悟」をチェックするのは、厳しくジャッジするためではなく、
今の準備状態に合ったサポートをするためです。

ここでは、セッションの中で使える質問テンプレを3つのカテゴリーに分けてご紹介します。

カテゴリー1:変化した未来を具体化する質問

  • 「その変化が本当に起きたとしたら、1日の流れはどう変わっていますか?」
  • 「誰との関係性が、どんなふうに変わっていると思いますか?」
  • 「そのときのあなたは、自分をどんなふうに感じているでしょう?」

カテゴリー2:変化のために「手放すもの」を確認する質問

  • 「その変化を本当に選ぶとしたら、今のどんなパターンを手放す必要がありそうですか?」
  • 「その変化が起きることで、失うかもしれないものは何でしょう?」
  • 「それを失うことに、どれくらい怖さを感じていますか?(0〜10で)」

カテゴリー3:具体的な「次の一歩」を自分で決めてもらう質問

  • 「今回のお話の中で、いちばん“やってみようかな”と思えたことは何ですか?」
  • 「それを、いつ・どこで・誰に対してやってみますか?」
  • 「その一歩を、0〜100のうち何%の気持ちで『やる』と言えそうですか?」

※最後の「何%の気持ちで『やる』と言えそうか?」という質問は、
「本当にその変化を望んでいるのか」をクライアント自身に確認してもらううえで、とても有効です。

責めずに現実を伝えるフィードバック3ステップ

クライアントの変化があまり進んでいないと感じたとき、
「全然行動できていませんよね」とストレートに言ってしまうと、クライアントは傷つきやすくなります。

一方で、「大丈夫ですよ」「ゆっくりでいいですよ」と言い続けるだけでは、
本当は変化したいのに、現実が変わらないままになってしまうことも。

そこで役立つのが、次のフィードバック3ステップです。

ステップ 内容
1 事実をそのまま映す 「この2週間で、◯◯さんが行動に移せたのはAとBの2つですね。」
2 講師の感じたことを共有する 「正直に言うと、“もっとできる力があるのにな”と私は感じています。」
3 一緒に選択肢を考える 「ここから先、どんな関わり方がいちばん進みやすいと思いますか?」

会話例:優しくも正直なフィードバック

講師:「前回のセッションで決めた“職場で一度だけ本音を言ってみる”という一歩は、今回まだできなかったとのことでしたね。」

講師:「正直に話してくださって、ありがとうございます。」

講師:「私から見ると、◯◯さんにはその一歩を踏み出せる力がすでにあるようにも感じています。ただ、怖さも強いのかな、と。」

講師:「ここから先、“今はまだ準備の期間にする”のか、“怖さを持ったまま小さく一歩踏み出す”のか、どちらがしっくりきますか?」

60分セッション構成テンプレート

ここでは、Day1〜Day3の内容を踏まえた60分セッションの構成例をご紹介します。
個別セッションだけでなく、1対複数の講座内での個別シェアにも応用できます。

60分セッション構成(例)

  1. 0〜10分:前回からの振り返り
    • 「この1週間(2週間)で、印象に残っていることは何でしたか?」
    • 「やってみたこと/できなかったこと」をざっくり聴く
  2. 10〜25分:事実・感情・意味づけの整理(ヒアリング)
    • 出来事・感情・意味づけを分けて質問
    • 「変わったつもり」サインがないか確認
  3. 25〜40分:講師からのフィードバック+気づきの言語化
    • フィードバック3ステップで現実を映す
    • クライアントの気づきを本人の言葉でまとめてもらう
  4. 40〜55分:次の一歩の設計
    • 「本当にその変化を望んでいるか」を質問テンプレで確認
    • 具体的な行動(いつ・どこで・誰に対して)を決める
  5. 55〜60分:まとめと確認
    • 「今日一番持ち帰りたい言葉は何ですか?」
    • 一歩を実行する確率(0〜100%)を本人に宣言してもらう

セッション後の振り返りチェックリスト

セッション後に、講師自身が自分の関わり方を振り返る時間を少し取ることで、
次回以降のヒアリングやフィードバックの質がどんどん高まっていきます。

講師用セルフチェックリスト

  • クライアントの「変わったつもり」を鵜呑みにしていなかったか
  • こちらの「正解」を押しつけすぎず、選択肢として提示できていたか
  • 事実・感情・意味づけを分けて聴く質問ができていたか
  • 厳しさと優しさのバランスはどうだったか(どちらかに偏っていないか)
  • 自分自身が「早く変えなきゃ」と焦っていなかったか

※これらの問いを、セッションごとに手帳やノートに1〜2行でメモしておくだけでも、
あなたの「講師としての在り方」が、少しずつ安定していきます。

まとめ:変化のスピードより「対話の質」を整える

Day3では、ヒアリングとフィードバックの実践的な技術を中心にお伝えしました。

クライアントの変化は、決して一直線ではありません。
だからこそ、すぐに変化が起きないことを前提に、 言葉の奥にある本音や準備状態を丁寧に聴いていく必要があります。

「変わったつもり」と「本当に変わる覚悟ができた状態」を見極め、
責めることなく現実を映し出すフィードバックができるようになると、 クライアントとの信頼関係は一段と深まります。

そして何より、講師であるあなた自身が、0-100の早急な変化を追いかけて疲弊することなく
クライアントのペースを尊重しながら、長く安定して活動できるようになります。

「自分のセッションのヒアリングやフィードバックを一緒に見直してほしい」
「クライアントとの会話で、どこまで踏み込んでいいのか迷う」
そんなときは、一人で抱え込む必要はありません。

以下のLINEからご相談いただければ、あなたのスタイルやメニューに合わせて、
ヒアリング&フィードバックの流れを一緒に整えていきましょう。

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よくある質問

Q. 厳しいフィードバックをしたあと、クライアントとの関係が悪くならないか心配です。

大切なのは、「相手を変えさせるためのダメ出し」ではなく、
「一緒に現実を見ていくための情報共有」としてフィードバックを伝えることです。
事実 → 自分の感じたこと → 選択肢の提案、という順番を守ると、関係性はむしろ深まりやすくなります。

Q. クライアントが「変わりたい」と言うわりに、行動を全く変えようとしないときは?

その場合は、Day3でご紹介した質問テンプレを使って、
「本当にその変化を望んでいるのか」「何を手放す必要がありそうか」「どれくらいの覚悟があるか」を一緒に確認していきます。
行動しないからといって責めるのではなく、今は“準備中の段階”かもしれないと捉えることも大切です。

Q. ヒアリングに時間をかけすぎて、セッションがいつも時間オーバーになります。

60分セッションテンプレのように、
「振り返り」「ヒアリング」「フィードバック」「次の一歩」という
大まかな時間配分をあらかじめ決めておくと、全体をコントロールしやすくなります。
慣れるまでは、手元にタイマーを置いて進めるのもおすすめです。

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