
心配しすぎないヒアリング:悩み・問題を“勝手に決めつけない”聴き方【Day2】
※本記事はDay1「スピ講師こそ『おせっかい禁止』?クライアントの境界線を守るという視点」の続きです。
Day1では、おせっかいとサポートの違い、そして先回りして世話を焼くことや先を視て勝手に伝えることが、なぜプライバシー侵害になり得るのかを整理しました。
はじめに:視えるからこそ、まず「聴く」ことに立ち返る
スピ系の講師として活動していると、クライアントの話を聞いているうちに、「きっとこの人の本当の問題はここにある」「前世とのつながりが強そう」といった感覚が浮かんでくることがあります。
そして、「この人は気づいていないけれど、本当は◯◯なんだ」と、心の中で悩みや問題を決めつけてしまうこともあるかもしれません。
しかし、その「勝手な決めつけ」が、クライアントの自立や安心感、そしてプライバシーを静かに傷つけてしまうことがあります。
Day2のテーマは、「心配しすぎないヒアリング」。
クライアントの悩み・問題をこちらが先に定義するのではなく、本人の言葉とペースを尊重しながら聴いていくための視点と具体的なステップをまとめていきます。
記事の後半では、「おせっかいヒアリング」と「尊重のヒアリング」を会話例で比較し、違いを体感していただきます。
最後には、自分のヒアリングを静かに振り返るミニワークと、ヒアリング質問テンプレートを受け取る方法もご案内します。
1. なぜ「決めつけないヒアリング」がスピ講師に必須なのか
スピ講師がクライアントの話を聞くとき、特に気をつけたいのが「決めつけ」です。
「きっとこの人は◯◯に問題がある」「この悩みの本質は△△だ」と、講師側が先に答えを用意してしまうと、次のような影響が出てきます。
1-1. クライアントの「本当の声」が出てこなくなる
決めつけヒアリングが続くと、クライアントは無意識のうちに、
- 先生の求める答えを話そうとする
- 先生が納得しそうなストーリーに合わせてしまう
- 自分の違和感を飲み込みやすくなる
という状態に入りやすくなります。
すると、「本当は違うんだけど…」という心の声が隠れてしまい、本質的な問題や、本人にとって一番大切なテーマに届きにくくなるのです。
1-2. 「先生の正解」に合わせるセッションになってしまう
スピの世界では、「視える人=正解を知っている人」というイメージを持たれやすくなります。
そのため、講師側が悩みや問題を先に定義してしまうと、セッション全体が「先生の正解を当てにいく場」になりがちです。
しかし、本当に必要なのは、クライアント自身が自分の内側から答えを見つけていくプロセスです。
決めつけヒアリングは、そのプロセスを短絡的にショートカットしてしまう危険があります。
1-3. プライバシーと境界線を守るうえでも重要
Day1でお伝えしたように、クライアントの悩みや問題を「講師が勝手に決める」ことは、プライバシーや境界線の観点からも慎重であるべきです。
たとえば、
- 家族との関係が問題なのだろうと決めつけて、根掘り葉掘り聞いてしまう
- 本人が触れていない過去のトラウマを、勝手に掘り起こそうとする
こうした関わりは、相手の準備が整っていない領域に踏み込むことになります。
決めつけないヒアリングは、単なる技術ではなく、クライアントの尊厳を守るための姿勢でもあるのです。
2. 心配しすぎないためのヒアリング基本ステップ
ここからは、心配しすぎず、決めつけずに話を聴くための基本ステップを整理していきます。
ベースとなる流れは、次の4ステップです。
2-1. ステップ1:事実・状況を淡々と確認する
まずは、感情や解釈を入れずに、事実ベースの状況を確認します。
- 今、どんな状況が起きていますか?
- いつ頃から、その状態が続いていますか?
- どんなときに特に気になりますか?
この段階では、「原因は◯◯に違いない」と決めつけず、情報を整理するつもりで淡々と聞くことがポイントです。
2-2. ステップ2:感情を丁寧に受け止める
状況がある程度見えてきたら、次に感情へと焦点を移します。
- そのとき、どんな気持ちになりますか?
- 一言で言うと、どんな感情が一番強いですか?
- 身体のどのあたりに、その感覚を一番感じますか?
講師として何か分析しようとするのではなく、「その感情があること自体を認める」イメージで聴きましょう。
2-3. ステップ3:本人の「望み」を一緒に言葉にする
状況と感情を聴いたあとで、初めて「どうなったらいいか」に目を向けます。
- どうなっていけたら、一番ほっとしますか?
- 理想を自由に話していいとしたら、どんな未来がいいですか?
- 今日の時間の中で、一番スッキリさせたいところはどこですか?
ここで講師側が「こうなるべき」「こうしたらいい」と先に答えを出すのではなく、本人にとっての望みを一緒に探すことが重要です。
2-4. ステップ4:許可を得てからスピ的な視点を加える
事実・感情・望みがある程度整理されたうえで、必要であれば、ここで初めてスピ的な視点を提案します。
ただし、その前に必ず許可を取ることが大切です。具体的なフレーズは、第4章で詳しくご紹介します。
この4ステップを意識することで、「心配からくる決めつけ」ではなく「尊重に基づいた対話」がしやすくなります。
3. 悩み・問題を「勝手に定義しない」質問のコツ
次に、実際の質問の仕方について見ていきましょう。
ここでは、悩みや問題を勝手に定義しないための、具体的なコツを3つに分けてお伝えします。
3-1. 「なぜ?」よりも「どんな?」を使う
「どうしてそうなったんですか?」という聞き方は、原因探しや正解探しになりやすく、クライアントが責められているように感じてしまうこともあります。
代わりに、
- どんなときに、その状態が強くなりますか?
- どんな状況だと、少し楽になりますか?
といった、「どんな?」という問いを増やすことで、決めつけから離れやすくなります。
3-2. 「◯◯ですよね?」と決めつけない
会話の中で、
- 「それって、◯◯ってことですよね?」
- 「つまり、本当は△△したいってことですよね?」
と、こちらの解釈を確認しようとすることがあります。
一見すると丁寧な確認にも見えますが、頻度が多すぎると「先生の答えに合わせなきゃ」というプレッシャーを与えてしまうことがあります。
代わりに、
- 「今の話を聞いて、私はこう感じたのですが、ご本人としてはどう感じていますか?」
- 「いくつか可能性がありそうなのですが、ご本人としてはどれが一番しっくりきますか?」
というように、こちらの解釈はあくまで「一つの案」として提示し、最後の決定権はクライアントに返すようにしましょう。
3-3. 「答えを誘導する質問」に注意する
たとえば、
- 「本当は、◯◯したいんですよね?」
- 「実は、△△が原因なんじゃないですか?」
という聞き方は、クライアントを特定の答えに誘導する質問です。
スピ講師として、ある程度の仮説や直感があったとしても、こうした誘導質問を繰り返すと、クライアントは「先生の望む答え」を探し始めてしまいます。
代わりに、
- 「いくつか思い当たることがあるとしたら、どんなことが浮かびますか?」
- 「いくつか案を挙げてもいいですか?その中から、ご自身が一番しっくりくるものを選んでみてください。」
のように、「選ぶ主体はクライアント」であることを言葉で確認しながら進めると良いでしょう。
4. 視えたこと・感じたことを扱うときの「許可の取り方」
Day1でも触れた通り、視えたことや感じたことを勝手に伝えないことは、プライバシーと境界線を守るうえでとても重要です。
ここでは、視えたこと・感じたことを扱うときの、具体的な許可の取り方をいくつかご紹介します。
4-1. まずは「別の視点がある」と伝える
いきなり「あなたの本当の原因は◯◯です」と切り出すのではなく、まずはこうした前置きを置きます。
- 「お話をうかがっていて、少し別の視点も浮かんでいます。」
- 「今の状況について、スピリチュアルな観点から見たときのヒントもあるのですが…」
こうすることで、クライアントに「その情報を受け取るかどうか」を選ぶ準備をしてもらいやすくなります。
4-2. 「聞きたいかどうか」を質問する
次に、実際に許可を取ります。
- 「その視点をお伝えしても大丈夫ですか?」
- 「今のタイミングで、その話を聞く準備はありますか?」
ここでクライアントが「今はいいです」と答えた場合は、たとえ視えていたとしても伝えないことが大切です。
「視えるから伝えなきゃ」ではなく、「相手が望むなら伝える」という原則を守りましょう。
4-3. 「信じるかどうかは自由」と明言する
視えたこと・感じたことを伝えるときは、次のような一言を添えると、相手の自由を守りやすくなります。
- 「これはあくまで、私が感じた一つの見方なので、合う部分だけ受け取ってもらえたらと思います。」
- 「今すぐ信じなくても大丈夫です。どこかで何かのヒントになればうれしいです。」
こうすることで、クライアントは「信じなければいけない」というプレッシャーから解放され、自分の感覚を大切にしながら情報を扱うことができるようになります。
5. 会話例で比べる:おせっかいヒアリング vs 尊重のヒアリング
ここでは、具体的な会話例を通して、「おせっかいヒアリング」と「尊重のヒアリング」の違いを感じてみましょう。
テーマは、「仕事がしんどい」という相談です。
5-1. おせっかいヒアリングの例
クライアント:「最近、仕事がしんどくて…。」
講師:「ああ、それはもう今の職場が合ってないんですよ。エネルギー的に合ってないのが視えます。」
クライアント:「そうなんですか…。」
講師:「あなた、本当はもっとクリエイティブなことをする人なんですよ。前世でもそういう仕事してましたし。だから転職した方が絶対いいですよ。」
クライアント:「でも、今すぐはちょっと…。」
講師:「もったいないですって。ちゃんと宇宙が応援してくれるから、大丈夫です。」
ここでは、講師側が
- 状況や感情を十分に聴く前に、職場が合っていないと断定している
- 前世やエネルギーを根拠に、転職を強く勧めている
- クライアントの不安や事情を受け止める前に、「大丈夫」と押し切っている
など、決めつけと先回りのおせっかいが多く含まれています。
5-2. 尊重のヒアリングの例
クライアント:「最近、仕事がしんどくて…。」
講師:「そうなんですね。まずは、どんなところが一番しんどいと感じますか?」
クライアント:「人間関係ですね…。上司との関係が、なんだかずっと緊張していて。」
講師:「上司との関係で、ずっと緊張している感じなんですね。その状態のとき、どんな気持ちになりますか?」
クライアント:「怒られるんじゃないか…って、いつもビクビクしていて。」
講師:「いつも怒られるんじゃないかとビクビクしている。かなりしんどいですよね。」
クライアント:「はい…。家に帰っても、ずっと頭から離れなくて。」
講師:「家に帰っても頭から離れないくらい、心と身体が緊張している状態なんですね。どうなっていけたら、一番ほっとできそうですか?」
クライアント:「もう少し、上司と普通に話せるようになりたいです…。あと、自分の意見も言えるようになれたら。」
講師:「上司との関係を、もう少し自然にしていきたい。自分の意見も言えるようになりたい。そのあたりが、今のテーマになりそうですね。」
クライアント:「はい。」
講師:「お話を聞いていて、少し別の視点も浮かんでいるのですが、スピリチュアルな観点からの見え方のお話も聞いてみたいですか?」
クライアント:「はい、聞いてみたいです。」
講師:「分かりました。あくまで一つの見方として聞いてもらえたらと思うのですが…。」
こちらの例では、
- まずは状況と感情を丁寧に聴いている
- クライアント本人の望みを確認している
- スピ的な視点を加える前に、必ず許可を取っている
- 「一つの見方」として提示する前提を明言している
というように、クライアントのペースと選択を尊重したヒアリングになっています。
6. ミニワーク:自分のヒアリングを静かに振り返る
最後に、あなた自身のヒアリングを振り返るミニワークをしてみましょう。
紙かノートを用意して、静かな時間を10〜15分ほど取るのがおすすめです。
6-1. 振り返り質問
最近のセッションや講座の場面を思い出しながら、次の質問に答えてみてください。
- クライアントの「悩み」や「問題」を、こちらが先に決めつけてしまったことはありますか?
- 「本当は◯◯ですよね?」と、誘導するような聞き方をしてしまった場面はありますか?
- 視えたこと・感じたことを、許可なく伝えてしまったことはありますか?
- クライアントの答えよりも、自分の見立てや正解を優先してしまったと感じる場面はありますか?
6-2. 「続けたいこと」と「手放したいこと」を分けて書く
次に、これまでのヒアリングの中で、
- これからも続けたいと思う関わり方
- これからは手放していきたいと感じる関わり方
を、それぞれ書き出してみましょう。
手放したいと感じる関わり方については、「今すぐ完全にやめる」と自分を追い込むのではなく、
「まずは、この場面ではやめてみよう」というように、具体的な場面を一つ決めてみると行動に移しやすくなります。
6-3. ヒアリング質問テンプレートを使ってみる
「聞き方を変えたいけれど、どんな質問をしたらいいかまだ不安」という方のために、
Day2の内容をもとにしたヒアリング質問テンプレートを用意しました。
テンプレートには、
- 事実・状況を確認する質問
- 感情を丁寧に聴く質問
- 望みを一緒に言葉にする質問
- スピ的な視点を提案するときの許可の取り方
などが、すぐに使える形でまとまっています。
テンプレートは、下のボタンからLINEに登録していただくと受け取れます。
自分の言葉にアレンジしながら、少しずつ「決めつけないヒアリング」を身体に馴染ませていきましょう。
※LINE登録後、「ヒアリングテンプレ希望」と一言メッセージをいただければ、テンプレートをお送りします。
実際に使ってみた感想や、うまくいかなかった場面などを送っていただければ、可能な範囲で一言アドバイスもお返しします。
まとめ:クライアントの答えを信じる勇気
Day2では、心配しすぎないヒアリングをテーマに、
- なぜ「決めつけないヒアリング」がスピ講師にとって大切なのか
- 事実・感情・望み・許可の4ステップ
- 悩みを勝手に定義しない質問のコツ
- 視えたこと・感じたことを扱うときの許可の取り方
- おせっかいヒアリングと尊重のヒアリングの違い
を見てきました。
決めつけないヒアリングとは、クライアントの中に本当の答えがあると信じる勇気でもあります。
講師としての直感や経験を手放すのではなく、それらを「押しつけるため」ではなく「必要なときに提案するため」に使う姿勢へとシフトしていくことが大切です。
次のDay3では、ヒアリングで得た情報をもとに、「やりすぎないセッション・講座の進め方」について具体的に見ていきます。
クライアントと一緒に進むセッション設計を、段階ごとに整理していきましょう。
よくある質問
- Q. クライアントが「先生の意見を聞きたい」と言ってきた場合はどうしたらいいですか?
-
その場合も、すぐに答えを伝えるのではなく、「ご自身としてはどう感じていますか?」と一度問い返してみるのがおすすめです。
そのうえで、「では、私の感じていることも一つの案としてお伝えしてもいいですか?」と許可を取り、
「合う部分だけ受け取ってくださいね」と前置きした上でお話しすると、依存ではなく自立を支える関わりになりやすくなります。 - Q. 視えたものを言わずにいると、モヤモヤしてしまいます…。
-
視えたものをすべて伝えないことは、決して不誠実ではありません。
むしろ、「今、相手にとって必要な情報だけを扱う」という意味で、とても誠実な選択です。どうしてもモヤモヤする場合は、「自分の安心のために伝えたいのか、それとも本当に相手のためになるのか」を一度立ち止まって感じてみると、少しずつバランスが変わっていきます。
- Q. 質問が多くなると、セッションの時間が足りなくなりそうで心配です。
-
たしかに、丁寧に聴こうとすると時間がかかるように感じるかもしれません。
しかし、最初にしっかりヒアリングを行うことで、その後の時間がスムーズになることが多くあります。どうしても時間が気になる場合は、あらかじめ「今日の前半はヒアリング、後半はワークやリーディング」と枠を決めておき、
ヒアリングのための質問をある程度テンプレート化しておくと、落ち着いて進めやすくなります。