
セッションで「口癖チェンジ」を進める5ステップ
はじめに:口癖チェンジは「注意」ではなく「共同作業」
Day1では、スピ系講師であるあなた自身の「口癖」を整えること。 Day2では、クライアントの口癖から無意識の前提を読み取る視点についてお話ししました。
そしてDay3でいよいよ、実際のセッションで「口癖チェンジ」をどう進めるかを、 具体的な流れとして整理していきます。
ここで大事なのは、「ネガティブな言葉はやめましょう」と注意することではありません。 そうではなく、クライアントさんと一緒に「未来が楽しくワクワクする言葉」を育てていく共同作業として扱うことです。
この記事では、セッション全体を5つのステップに分け、 それぞれの場面で使いやすい「質問の例」や「言い換えのテンプレ」をご紹介します。 後半では、実際の会話例と、セッション前後に使えるチェックリストもまとめました。
読み終わるころには、あなたのセッションの中で自然に「口癖チェンジ」が起こる流れがイメージできるようになります。
セッションの全体像:5つのステップ
まずは、今回お伝えするセッションの流れをざっくりとまとめます。
| ステップ | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| STEP1 | 安心感をつくる | 今の言葉を否定せず、「よくここまで頑張ってきた」ことを伝える |
| STEP2 | 口癖を見える化 | クライアントの言葉をそのまま書き出し、一緒に眺める |
| STEP3 | 前提を確認する | 事実と解釈を分けながら「どんな前提があるか」を共に見る |
| STEP4 | 未来の表現に言い換える | 「〇〇しないようにする」から「こうなったらうれしい」へ |
| STEP5 | 日常への落とし込み | マイルールや一言フレーズを決めて、生活に持ち帰ってもらう |
それぞれのステップはシンプルですが、一つひとつを丁寧に行うことで、無意識へのアプローチがとても自然になります。
STEP1:安心感をつくる「今のままで大丈夫」というスタート
口癖の話をするときに、クライアントさんが一番恐れているのは、 「自分はダメな考え方をしていたんだ」と責められることです。
だからこそ最初に、今の口癖も「これまでを生き抜くために必要だったもの」だったと伝え、安心してもらう時間をつくります。
使いやすい言葉の例:
- ・「まず、これまでその考え方で本当にたくさん頑張ってこられたんだなと感じます」
- ・「今日ここでは、良い・悪いではなく、『これからどうしたいか』を一緒に見ていきましょう」
- ・「今の口癖も悪者ではなく、今まであなたを守ってきた役割があったと思うんです」
この一言があるだけで、その後の「口癖を見直す」ステップが、とてもスムーズになります。
STEP2:口癖をそのまま丁寧に「見える化」する
次に、クライアントさんがよく使う言葉を、紙やノートに書き出していきます。 ここでは、あなたの解釈を入れずに、「そのままの言葉」を書くことがポイントです。
質問の例:
- ・「最近、よく口にしている言葉や、心の中でつぶやいているフレーズはありますか?」
- ・「ため息と一緒に出てくる言葉を思い出してみてください」
- ・「『〜しないようにしないと』と自分に言っていることはありますか?」
書き出し用の簡単フォーマット:
【よく出てくる言葉】
1)
2)
3)
書き出したら、クライアントさんと一緒に眺めながら、 「こういう言葉をよく使っていたんですね」と、事実を確認していきます。
STEP3:無意識の前提にそっと光を当てる質問
口癖が見えてきたら、次はその奥にある「前提」にゆっくり近づいていきます。 ここで役立つのが、「事実」と「解釈」を分ける質問です。
たとえば、クライアントさんがこう話したとします。
「失敗しないように、ちゃんと準備しておきたいんです」
ここから、こんな質問につなげることができます。
- ・「実際に起きたことだけを、もう一度シンプルに教えてもらえますか?」(事実の整理)
- ・「そのとき、心の中でどんな意味づけをしましたか?」(解釈の確認)
- ・「その意味づけは、これまでのあなたを守ってくれた部分もありそうですか?」(ねぎらい)
- ・「もし、その前提を少しだけ緩められるとしたら、どんな未来が開けてきそうですか?」(未来への問い)
こうして「前提」を一緒に見ていくことで、 クライアントさんの中に、自然と「別の見方をしてもいいかもしれない」というスペースが生まれます。
STEP4:「〇〇しないようにする」から未来の表現へ言い換える
前提に気づいてもらえたら、いよいよ「口癖チェンジ」の時間です。 ここでは、Day1でお伝えしたように、 「しないようにする」ではなく「こうなったらうれしい」を前提にした言い方へ変えていきます。
いきなりクライアントさんに「じゃあ、自分で言い換えてみてください」とすると、 苦しくなってしまうことがあります。 そこで、まずはあなたが例を示し、そこから一緒に調整していきましょう。
よくある口癖の言い換えテンプレート例:
| 元の口癖 | 未来を前提にした言い換え案 |
|---|---|
| 失敗しないように気をつけたい | チャレンジからたくさん学びを受け取れる自分でいたい |
| ネガティブなことは言わないようにします | 自分の未来が楽しくなる話題をできるだけ選んでみます |
| 迷惑をかけないように、がまんします | お互いが心地よく助け合える関係を少しずつ増やしていきたいです |
ここで大事なのは、「完璧なポジティブ」ではなく、「クライアントさんにとってリアルな未来」にすることです。 違和感がある表現は、無意識にスッと入っていきません。
調整するときに使える一言:
- ・「この言い方、10段階中どれくらいしっくりきますか?」
- ・「もっとやわらかい表現にしてみてもいいですよ」
- ・「今のあなたが、本当に心から言えそうな言葉に少し変えてみましょうか」
STEP5:日常で続くように「マイルール」と「一言フレーズ」を決める
最後に、セッションでの気づきを日常に持ち帰ってもらうために、 シンプルな「マイルール」と「一言フレーズ」を一緒に決めます。
例:
- ・マイルール:「ネガティブをゼロにしようとしない。気づけたらOKにする」
- ・一言フレーズ:「本当は、どうなったらうれしい?」
書き出しテンプレート:
【今日からのマイルール】
・
【意識して使ってみる一言フレーズ】
・
セッションの最後にこれを書いてもらうことで、 クライアントさんは「自分で選んだ言葉」として、日常に持ち帰ることができます。
会話テンプレート:そのまま使える口癖チェンジ・スクリプト
ここでは、実際のセッションで使える会話例を、 ほぼそのまま使える形でご紹介します。 自分の言葉に置き換えながら、必要な部分だけを取り入れてください。
ケース:失敗が怖くて動けないクライアントさん
講師:
「最近、どんな言葉を自分にかけていることが多いですか?」
クライアント:
「失敗しないように、ちゃんとしなきゃって、ずっと思ってます。」
講師:
「なるほど…。その言葉で、これまで本当にたくさん頑張ってこられたんですね。
一度、ノートに『失敗しないように、ちゃんとしなきゃ』と書いてみてもいいですか?」
(ノートに書き出して、一緒に眺める)
講師:
「この言葉の奥には、どんな前提が隠れていそうでしょう?」
クライアント:
「うーん…。失敗したら終わり…みたいな…。
ちゃんとしてないと、認めてもらえない感じがします。」
講師:
「そう感じながら、ここまで本当によく踏ん張ってこられましたね。
もし、この前提を少しだけ緩められる未来があるとしたら、
どんな状態になっていたら『うまくいってる』と言えそうですか?」
クライアント:
「失敗しても、やり直せるって思えてたら、もう少し楽かもです。」
講師:
「素敵ですね。その未来のあなたは、自分にどんな言葉をかけていそうですか?」
クライアント:
「うーん…『チャレンジしただけえらい』とか…。」
講師:
「いいですね。では、『失敗しないように、ちゃんとしなきゃ』という口癖を、
今のあなたにしっくりくる形で少し変えてみるとしたら、どんな言い方が良さそうですか?」
クライアント:
「『チャレンジしながら学んでいこう』とか…。」
講師:
「とてもいいですね。10段階でいったら、どれくらいしっくりきますか?」
クライアント:
「7〜8くらいです。」
講師:
「では、今日からのマイルールとして、
『失敗しないように』と思ったときには、
心の中で『チャレンジしながら学んでいこう』と一度だけ言い直してみる、
というのはどうでしょう?」
クライアント:
「それならできそうです。」
このように、気づき → 前提 → 未来 → 言い換え → マイルールという流れで進めると、 無理なく「口癖チェンジ」が進んでいきます。
セッション前後のチェックリスト
最後に、あなた自身のためのチェックリストを用意しました。 セッション前後に、さっと確認してみてください。
セッション前チェック
- □ クライアントの前に、自分自身の口癖を一度整える時間を取ったか
- □ 「今日は正しさを教えるのではなく、一緒に未来を見に行く」と決めているか
- □ ノートやペンなど、「言葉を見える化」する準備ができているか
セッション後チェック
- □ クライアントの口癖を、否定せずに受け止める言葉を伝えられたか
- □ 無意識の前提について、一緒に眺める時間を持てたか
- □ 「〇〇しないようにする」を、「こうなったらうれしい」表現に1つ以上言い換えたか
- □ クライアントの「マイルール」と「一言フレーズ」が決まったか
- □ 次回のセッションで確認したいポイントを、自分用メモに残したか
実際の講師さんの声(成功事例)
最後に、口癖チェンジの視点を取り入れたスピ系女性講師さんから届いた、 実際の変化の声を一部ご紹介します(内容はプライバシーに配慮して再構成しています)。
事例1:クライアントが「自分で気づいて」変わり始めた
「以前は、ネガティブな言葉をやめたほうがいいですよ、という伝え方をしていました。 今は、口癖を書き出して一緒に眺めるようにしたところ、 クライアントさんのほうから『これ、けっこう厳しい言い方ですね』と気づかれる場面が増えました。 私が変えさせるのではなく、『自分で気づいて変え始める』流れができて、とてもラクになりました。」
事例2:セッション後のLINEメッセージがポジティブに変化
「セッションの最後に『一言フレーズ』を決めるようにしてから、 そのフレーズを使ったLINEメッセージが届くようになりました。 以前は『またやらかしました』だったのが、 『またチャレンジしました。ここから学びを受け取ります』に変わっていて、 無意識レベルでの変化を感じています。」
こうした事例を見て分かるように、 小さな「一言の違い」が、日常の選択や気持ちの立て直しに大きな影響を与えていきます。
まとめ:小さな一言の変化が、未来の空気を変えていく
Day3では、セッションの中で「口癖チェンジ」を進める具体的な流れを、 5つのステップと会話例で見てきました。
大切なポイントは、
- ・今の口癖も、これまでを生き抜くための「味方」だったと受け止めること
- ・口癖をそのまま書き出し、一緒に眺めることで前提を見に行くこと
- ・「〇〇しないようにする」ではなく、「こうなったらうれしい未来」を前提にした表現へ導くこと
- ・日常に持ち帰れる「マイルール」と「一言フレーズ」を決めること
こうして少しずつ、クライアントさんの無意識に届く言葉が変わっていくと、 セッションの外側、日常生活の空気も少しずつ変化していきます。
次回Day4では、「口癖チェンジ」の効果を数字や行動で確認するための振り返り方法や、 改善のための質問・フォローの仕組みについてお話しします。 セッションの質をさらに高めたいと感じている方は、ぜひ続けて読んでみてください。
あなたのセッションにも「口癖チェンジの流れ」を取り入れてみませんか?
すでに何人ものスピ系女性講師さんが、 「口癖チェンジ」の流れを取り入れたことで、
- ・クライアントさんの気づきが深くなった
- ・セッション後の行動が明らかに変わった
- ・講師自身も、言葉の選び方がやさしくなった
と実感されています。
「自分のケースだと、どんな質問や言い換えが合うのか知りたい」 「クライアントさんとの会話例を一緒に整理してほしい」 そんなときは、ぜひ一度メッセージを送ってみてください。
LINEでは、 ・あなた専用の質問例の提案 ・セッション台本の添削 ・Day4以降の公開情報 などをお届けしています。
「口癖チェンジの流れについて相談希望」と一言そえて送っていただければ、スムーズにお返事できます。
よくある質問
Q. セッションの時間内に、ここまで全部できるか不安です。
5ステップを一度に完璧にやろうとしなくて大丈夫です。 まずは「口癖を見える化する」と「一言フレーズを決める」の2つだけ、 と決めて取り組むのもおすすめです。 残りのステップは、次回以降のセッションに回してもかまいません。
Q. ことばのワークが苦手なクライアントさんにはどうすれば?
書いてもらう量を減らしたり、 「3つ書きましょう」ではなく「1つだけでもOKです」と伝えたりして、 負担を軽くしてあげてください。 こちらが例をいくつか出して、その中から選んでもらう方法も有効です。
Q. 自分の口癖が気になって、セッションに集中できなくなります。
講師であるあなた自身も、人間です。 完全に整った言葉だけを使う必要はありません。 「あ、今の言葉は昔のクセだったな」と気づけたときに、 心の中で「本当は、こうなったらうれしい」とそっと言い直してみるだけでもOKです。 その姿勢自体が、クライアントさんへの優しいメッセージになります。