
講師として仕事をしていますか?クライアントの立場から一歩進むための問い
学んだ内容に心を動かされ、「私も誰かの役に立ちたい」と講師の活動を始める。その思いは、大切な出発点です。
ただ、講座を受ける側から提供する側へ移ったとき、役割も変わっています。自分が学んで満足することに加えて、相手が何を理解し、何を持ち帰れるのかを考える責任が生まれます。
あなたは今、講師として仕事をしているでしょうか。それとも、学ぶ側の感覚のまま、教える形をまねているでしょうか。これは自分を責めるための問いではありません。活動を仕事として整えるために、確かめたい問いです。
仕事として行うことへの認識はありますか?
私は、講師として仕事をするとは、相手に提供する内容を明らかにし、その約束に責任を持つことだと考えます。
知識が豊富であることや、人前で上手に話せることだけではありません。何を教えるのか、誰を対象とするのか、どこまで対応できるのかを説明し、準備をして、相手の理解を確かめる。その積み重ねが必要です。
活動を始めたばかりでも、この認識は持てます。反対に、長く活動していても、内容や対応の範囲が曖昧なままなら、見直す余地があります。経験年数だけで、仕事への姿勢が決まるわけではありません。
クライアントとしての経験を、教える準備につなげていますか?
自分が講座やセッションを受けた経験は、受講者の迷いや質問を想像する手がかりになります。「私も最初は分からなかった」と気づけることは、説明を工夫する助けになるでしょう。
ただ、自分が分かったことを、そのまま話せば相手も理解できるとは限りません。自分には合っていた方法が、別の人にも合うとは限らないからです。
講師として提供するなら、自分の体験を振り返るところから、もう一歩進む必要があります。
- 初めて学ぶ人にも分かる言葉で説明できますか?
- 質問されたとき、説明できることと分からないことを分けられますか?
- 自分の体験と、一般的に確認できる事実を区別していますか?
- 相手に合わない場合、無理に同じ方法を勧めずに対応できますか?
スピリチュアルな考え方を扱う場合も、個人の体験や解釈を、誰にでも当てはまる事実として伝えないことが大切です。何を根拠に話しているかを明らかにする姿勢は、講座の内容を理解してもらうためにも必要です。
親しみやすさや親身さだけで、役に立てますか?
話しやすい講師、親身に聴いてくれる講師でありたい。その気持ちは大切にしてよいのです。安心して質問できる雰囲気も、学びを支える一つの要素です。
ただ、「私も同じことで悩んだから分かります」という共感だけで、相手の疑問に答えられるでしょうか。相手が説明や判断材料を求めているときには、気持ちを受け止めたうえで、必要な内容を伝えることが求められます。
説明用の例です。受講者から「このワークがうまくできません」と質問されたとします。「私も最初はできませんでした」と答えるだけでは、次にどう取り組むかが分からないかもしれません。
どの部分で迷ったのかを聴く。手順を説明し直す。別の例を示す。無理に続けなくてもよい場合は、そのことを伝える。こうした対応まで考えておくことが、講師としての準備です。
親しみやすさに加えて、相手の学びを支える具体的な対応があるか。そこを確かめてみてください。
プロとしての姿勢は、分からないことへの対応にも表れます
プロとして仕事をするからといって、すべての質問に答えられる必要はありません。大切なのは、答えられないときの対応です。
曖昧なまま言い切らず、「確認してからお伝えします」と答える。自分の講座で扱える範囲を説明する。専門的な支援が必要な相談には、適切な専門家への相談を案内する。こうした判断も、提供者の仕事に含まれます。
相手の役に立ちたいからこそ、自分にできることを正確に伝える。その姿勢は、親身さと両立します。
今日、自分の講座について確かめてみること
今提供している講座やセッションを一つ選び、次の三つを書いてみてください。
- 相手は、何を学ぶために申し込むのでしょうか?
- そのために、自分は何を準備して提供していますか?
- 自分が対応できる範囲は、どこまでですか?
答えが「楽しく過ごしてもらう」「気持ちを分かってあげる」だけになったら、もう少し具体的に考えてみましょう。楽しい時間や共感も大切ですが、講座で何を伝え、どんな学びを支えるのかまで言葉にすると、仕事の内容が見えやすくなります。
まだ答えがまとまらなくても、そこで自分を否定する必要はありません。曖昧な部分が見つかったなら、次に準備することが見つかったということです。
まとめ
講師として仕事をするなら、クライアントとしての経験を土台にしながら、提供者としての準備と責任を持つことが大切です。親しみやすさや親身さに加えて、何を教え、どう理解を支え、どこまで対応するのかを明らかにしていきましょう。
「アマチュアに少し知識が加わっただけの意識で、相手の助けになれているだろうか」。そう問い直すなら、自分への評価だけで終わらせず、講座の説明や準備を一つ具体的に変えてみてください。
次回は、学ぶ側と教える側では何が変わるのかを、講座づくりと受講者への対応から考えます。
自分の講座で提供している価値や、対応できる範囲を整理したい方は、LINEからご相談ください。今の活動を言葉にするところから、一緒に考えていきましょう。