
はじめに
Day4は、Day1〜3で築いた原則と手順を継続的に良くしていく仕組みづくりです。 目的はシンプル——場を荒らさないを再現性高く維持すること。そのために、 測る(KPI)→試す(ABテスト)→直す(改善プロトコル)のループを回し、地域との信頼を積み上げます。 物理マナーに加え、エネルギーハイジーン(持ち込まない・置いてこない)の指標化が鍵です。
KPI設計:安全・静穏・残留防止を数値化
“荒らさない訪問”の3視点(安全・静穏・残留防止)で先行指標・結果指標を定義します。
| カテゴリ | KPI例 | 測定方法 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 安全 | インシデント率(件/訪問) | インシデント記録 | 0〜0.1件/訪問 |
| 静穏 | 平均滞在時間(分) | タイムキーパー記録 | 10〜15分 |
| 静穏 | 写真待ち時間(分) | 行列観測 | < 3分 |
| 残留防止 | 残留指標平均(重さ/ざわつき/だるさ:1〜3) | 退出後アンケート | 平均 ≤ 1.5 |
| 遵守 | クローズ手順遵守率 | サブ講師チェック | ≧ 95% |
| 地域 | 地域フィードバック有無 | 連絡票/口頭記録 | 苦情ゼロ、感謝1件/四半期 |
ABテスト設計:小さく検証し確信度を高める
一度に変えるのは1要因だけ。安全を最優先し、効果がなければ即撤回します。
検証テーマ例(仮説)
- 滞在時間を12分(A)→9分(B)に短縮すると、写真待ち時間が短くなり残留指標が改善する。
- 到着前ブリーフィングを口頭(A)→配布カード+静止10秒(B)にすると、クローズ遵守率が上がる。
- グループサイズを6名(A)→4名(B)にすると、他者への配慮行動が増える。
- 写真ルール表示をテキスト(A)→アイコン+「2枚・30秒」カード(B)にすると、交代がスムーズ。
- クローズ手順の静止時間20秒(A)→40秒(B)で、残留指標が下がる。
計画の書式(要点)
- 目的と仮説(なぜそれを変えるのか)。
- 指標(主要1〜2、参考1)。
- サンプル(訪問2〜4回分)。
- ガードレール(苦情1件・待ち列5分超で停止)。
- 結論と次アクション(採用/保留/却下)。
改善プロトコル:記録→分析→改善→共有
短いリズムで回すと現場がぶれません。以下を1セットで実施します。
- 記録:インシデント、残留指標、KPI(滞在・待ち時間・遵守)。
- 分析:異常値(待ち5分超、残留平均>1.5)を抽出。
- 改善:1要因だけを変更し、ABとして2〜4回検証。
- 共有:チーム用ノートに「何を変え、どうなったか」を1行で。
リスク登録簿(Risk Register)
| リスク | 可能性 | 影響度 | 緩和策 | トリガー | オーナー |
|---|---|---|---|---|---|
| 混雑・占有 | 中 | 高 | 滞在短縮・分割・別ポイント | 待ち列3分超 | Lead |
| 撮影トラブル | 中 | 中 | カード配布・小声注意 | 映り込み確認 | Support |
| 体調不良 | 低 | 高 | 退避・水分・撤退判断 | めまい/冷汗 | Lead |
| 残留感の増加 | 中 | 中 | クローズ延長・現地外シェア | 平均>1.5 | Timer |
地域との信頼構築:連絡・配慮・返し
基本方針
- 告知:不定期で混雑回避に努め、大人数は避ける。
- 配慮:撮影・音量・導線は掲示に従う。清掃など小さな返しをセットに。
- 記録:苦情は即時共有し、再発防止策を明文化。
連絡文テンプレ(例)
【訪問予定のご連絡】
◯月◯日(◯)に、3〜4名で短時間の訪問を予定しております。
静穏・撮影・導線の掲示に従い、滞在は10〜15分を目安にいたします。
何か配慮事項がございましたらお知らせください。いつもありがとうございます。
署名
テンプレ集:ログ/アンケート/AB計画書
インシデントログ(再掲・要約)
日時/場所/事象/初期対応/終了時刻/関係者/改善案
退出後ミニアンケート
重さ:1/2/3 ざわつき:1/2/3 だるさ:1/2/3
メモ(任意・30秒以内)
AB計画書(雛形)
目的:
仮説:
変更する1要因:
主要指標/参考指標:
サンプル(回数):
ガードレール:
結論:
次アクション:
よくある質問
- Q. 数字に弱いです。最低限どれだけ測れば?
- A. 「滞在時間」「待ち時間」「残留指標(3項目)」の3つで十分。異常が出たら詳細を増やします。
- Q. 残留指標は主観なので信用できないのでは?
- A. 主観でも傾向は掴めます。場で深掘りはせず、移動後に30秒で記入することで負担を最小化します。
- Q. 地域からの苦情が来たらどうする?
- A. まず謝意と撤回、次回からの具体策(人数・時間帯・導線)を明文化して返信。記録しチームで共有します。
まとめ
Day4では、“荒らさない訪問”を再現するためのKPI・ABテスト・改善プロトコルを整え、 地域との信頼を積み上げる方法を確認しました。持ち込まない・置いてこないは理念ではなく、 数値と手順で守る時代です。次回Day5は、よくある失敗の回避・FAQ・長期の共創モデルまでを統合します。
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