
他人に影響されないでいるために。スピリチュアル系講師が迷いやすい三つの場面と対応
ほかの講師の発信を見て、自分のやり方に自信がなくなる。身近な人の助言を聞いて、決めていたことを変えたくなる。クライアントに求められると、難しいことまで引き受けてしまう。
講師として活動していると、自分だけで考えていたときにはなかった迷いが生まれます。
他人に影響されないでいるために必要なのは、人の意見を聞かなくなることではありません。聞いた内容を確かめ、自分が大切にしたいことと照らし合わせて、対応を選ぶことです。
Day2では、自分を支える信念と、自分を縛る思い込みの違いを考えました。Day3では、三つの具体的な場面を通して、自分の判断を保つ対応を見ていきます。
以下は、考え方を説明するための架空の例です。
場面1:ほかの講師の発信を見て、自分の方針を変えたくなる
30代のスピリチュアル系女性講師が、少人数で対話を大切にする講座を準備しているとします。
ところが、SNSで多くの受講者を集めている講師を見て、急に不安になりました。
「少人数では、仕事として成り立たないのではないか」「もっと強い言葉を使わないと、申し込みにつながらないのではないか」と考え、講座の内容や伝え方を変えようとします。
見えている事実と、自分の想像を分ける
この場面で見えているのは、その講師が大人数の講座を案内していることや、投稿に多くの反応があることです。
一方で、その講座にかかる費用、準備の負担、受講者への対応、実際の収支までは、投稿だけではわからないことがあります。
「あの人に反応がある」という事実から、「自分も同じことをしなければうまくいかない」という結論を急がないことが大切です。
自分の講座で大切にしたいことに戻る
少人数にしている理由が、一人ひとりの質問を聞き、理解を確かめるためなら、その理由を確認します。
そのうえで、改善できる部分を考えます。少人数という方針を変えなくても、講座の対象者や学べる内容を、もっとわかりやすく伝えることはできます。
- 誰に向けた講座なのかを具体的にする。
- 講座で扱う内容と、扱わない内容を説明する。
- 少人数で行う理由を伝える。
- 必要な費用や準備時間を確認し、続けられる形を考える。
他人の発信は、見直しのきっかけとして使えます。ただし、自分の方針を決める根拠は、自分の目的と実際の状況から確かめます。
参考になる部分を取り入れることと、相手のやり方に自分を合わせることは、同じではありません。
場面2:身近な人の助言で、自分の考えが揺らぐ
40代の女性講師が、講座の案内文を身近な人に見てもらったとします。
すると、「もっと成果を言い切ったほうがいい」「遠慮していたら選ばれない」と助言されました。
本人は、受講後の変化には個人差があるため、確実な成果を約束するような表現は避けたいと考えています。それでも、相手が自信を持って話すので、自分の考えが弱いのではないかと迷います。
相手の自信の強さと、内容の確かさを分ける
はっきりした言い方をされると、その意見が正しいように感じることがあります。しかし、話し方の強さだけでは、その助言が自分の仕事に合っているかどうかは判断できません。
この場面では、助言の目的と、提案された方法を分けて考えます。
「講座の良さが伝わるようにする」という目的は、参考にできます。一方で、「成果を必ず得られると言い切る」という方法まで採用する必要はありません。
大切にしたい信念を、具体的な対応にする
「受講者が自分で判断できるよう、正確に伝えたい」という信念があるなら、それを案内文に反映します。
たとえば、次のように返答できます。
「わかりやすく伝える必要があるという点は、参考になりました。成果を約束する言い方は避けたいので、講座で何を学び、どんな練習をするのかを具体的に書き直します。」
助言を受け止めることと、そのすべてに従うことは別です。取り入れる部分と採用しない部分を、自分の理由で選んでよいのです。
ただし、誤りや説明不足を指摘されたときには、事実を確認することも必要です。自分の信念を持つことは、見直しをしなくてよいという意味ではありません。
場面3:クライアントの要望を断れず、無理をしてしまう
講座を担当する女性講師に、受講者から夜遅い時間に長い相談が届いたとします。
相談は講座の内容を超えており、すぐに答えることも難しい状態です。それでも、「親身な講師なら、今すぐ対応するべきだ」と考えてしまいます。
以前、返信が遅いと不満を言われた経験もあり、今回も断ると信頼を失うのではないかと不安になります。
過去に起きたことを、今回の結論にしない
以前、返信について不満を言われたことは、過去の出来事です。しかし、今回の相手も同じ反応をするかどうかは、まだわかりません。
過去の経験から、連絡方法や返信時間を見直すことはできます。ただ、そこから「これからは、すべての相談にすぐ答えなければならない」と決める必要はありません。
今回の判断では、現在の約束、相談内容、自分が対応できる範囲を確認します。
相手への配慮と、自分の対応範囲を両方伝える
講座の質問として対応できる部分には、決めた時間内に返答します。範囲を超える相談については、そのことをわかりやすく伝えます。
たとえば、次のような対応が考えられます。
「ご連絡ありがとうございます。講座内容についてのご質問は、明日の対応時間内にお返事します。今回のご相談には講座の範囲を超える内容もあるため、私が対応できる部分を確認してからご案内します。」
必要に応じて、別の相談機会や、内容に合った専門家への相談を案内することもできます。ただし、用意していないサービスを約束したり、自分の知識を超えて答えたりする必要はありません。
親身になることは、求められたことをすべて引き受けることではありません。
対応できることを明確にし、約束したことを守る姿勢も、相手を大切にする対応です。
三つの場面に共通する、自分の判断を保つ順番
ほかの講師の発信、身近な人の助言、クライアントの要望。相手は違っても、判断を整理する順番は共通しています。
- 何を見聞きしたのかを確認する。相手の言葉や、実際に起きたことを具体的にします。
- 自分が加えた想像を分ける。「必ず失敗する」「断ったら嫌われる」など、まだ確かめていない予測を見つけます。
- 大切にしたいことを確認する。正確に伝える、受講者の選択を尊重する、約束を守るなど、自分の判断の理由に戻ります。
- 今の条件を確認する。時間、費用、知識、契約や案内の内容など、実際に対応できる条件を見ます。
- 次の行動を選ぶ。取り入れる、断る、確認する、保留するなど、状況に合う対応を決めます。
すぐに答えを出せない場合は、「確認してから返答します」と伝えてもかまいません。返答が必要な場面では、いつ返すかも合わせて伝えると、相手が待つ目安になります。
未来は、過去と同じ対応を続けるだけではない
これまで人の意見に合わせてきたとしても、次の場面で同じ対応を選ぶ必要はありません。
以前は、その場で引き受けていた依頼に、今回は条件を確認してから返答する。以前は、ほかの講師を見て方針を変えていたところで、今回は自分の目的を確かめる。そうした選択は、今からできます。
未来を自分で作るということは、すべてを思いどおりにすることではありません。相手の反応や結果は、自分だけでは決められません。
それでも、何を学ぶか、何を伝えるか、どこまで引き受けるかは、自分で考えて選べます。
過去は判断の材料になります。未来の対応まで、過去と同じ形に固定する必要はないのです。
今日のワーク:最近迷った場面を一つ整理する
最近、誰かの言葉や反応で迷った場面を一つ選び、次の五つを書いてみてください。
- 相手が実際に言ったこと、または実際に起きたこと。
- そのとき、自分が想像したこと。
- その場面で、自分が大切にしたかったこと。
- 判断するために、まだ確認が必要なこと。
- 次に同じような場面があったとき、選びたい行動。
たとえば、「投稿をもっと増やしたほうがよいと言われた」という出来事と、「増やさなければ講師として認められない」という考えは、分けて書きます。
そのうえで、届けたい相手、今の発信内容、使える時間を確認します。次の行動は、投稿数を増やすことかもしれませんし、一つの投稿をわかりやすく直すことかもしれません。
大切なのは、他人の言葉に反応しただけの行動から、自分で理由を確かめた行動へ移ることです。
よくある質問
尊敬している先生の助言でも、採用しなくてよいのでしょうか?
助言の内容を理解し、自分の状況に合うかを確かめたうえで、採用するかどうかを選べます。尊敬していることと、すべて同じやり方にすることは別です。ただし、仕事上の約束や、守る必要のある決まりについての指摘は、内容を確認して対応してください。
クライアントの希望に応えないと、冷たい講師だと思われませんか?
相手がどう受け取るかを完全に決めることはできません。それでも、希望を聞き、対応できる範囲と理由を丁寧に伝えることはできます。難しいことまで約束するより、できることを明確にして守るほうが、無理の少ない関係を築きやすくなります。
迷うことが多いのは、自分自身を持てていないからですか?
迷うことだけで、自分自身がないとは言えません。相手の意見と自分の考えを比べているからこそ、迷う場合もあります。迷ったときに、事実、想像、大切にしたいことを整理すると、自分が選ぶ理由を見つけやすくなります。
まとめ+要約
他人に影響されないでいるためには、相手の言葉をそのまま自分の決まりにせず、内容を確かめて判断することが大切です。
- ほかの講師の発信は、自分の目的や条件と照らし合わせて参考にします。
- 助言は、目的と方法を分けて考え、取り入れる部分を選びます。
- クライアントへの配慮は、対応範囲を超えて引き受けることとは限りません。
- 過去の経験と、これから起きることへの予測を分けます。
- 結果をすべて決められなくても、次に取る行動は自分で選べます。
自分自身を持つことは、一度も揺れないことではありません。揺れたときに、自分が大切にしたいことへ戻り、今の状況を見て選び直すことです。
次回の予告
Day4では、他人の言葉に迷ったときに使える、判断を整理するための具体的な手順を紹介します。自分の信念を言葉にし、過去の経験と未来の選択を分け、日々の仕事で使える形にしていきます。
自分の判断を整理したい方へ
「どこまで助言を取り入れればよいのかわからない」「クライアントの希望を聞くと、自分の方針が揺らいでしまう」。そんなときは、実際に迷った場面を一つ取り上げて考えるところから始められます。
一人では整理しにくい場合は、相談をご利用ください。相手の言葉と自分の考えを分け、大切にしたいことや対応できる範囲を確認しながら、次の行動を考えていきます。