
「寄り添います」をやめたら何を伝える?30代女性のスピ系講師が決めたいサポートの中身
はじめに
Day1では、
「優しく寄り添います」
「最後まで伴走します」
という言葉は、本当に自分の本心なのかを考えました。
Day2では、
なぜ私たちは、
「講師なら寄り添わなければならない」
「優しくしなければならない」
と思ってしまうのかを見てきました。
そしてDay3では、さらに具体的なところまで進みます。
もし「寄り添います」「伴走します」という言葉を使わないとしたら、
講師として、いったい何を伝えればいいのでしょうか。
ここで不安になる人もいるかもしれません。
「寄り添います」と書かないと、冷たく見えるのではないか。
「伴走します」と言わないと、サポートが弱そうに見えるのではないか。
「優しい先生」という印象がなくなったら、申し込みが減るのではないか。
でも、実際には逆のこともあります。
「寄り添います」という言葉だけでは、受講する側は、
何をしてもらえるのか。
どこまで相談できるのか。
何に答えてもらえるのか。
どこから先は自分で考えるのか。
ということがわかりません。
つまり、安心感があるように見えて、実はとても曖昧なのです。
だから今日は、
優しさを宣言するのではなく、実際のサポート内容を言葉にする
という考え方を整理します。
目次
- 「寄り添う」はサポート内容ではない
- まず「何をする講師なのか」を決める
- 提供するものと提供しないものを分ける
- 質問対応の範囲を具体的にする
- 相談回数や対応時間を決めても冷たくはならない
- 「答えを教える」と「考える力を育てる」は違う
- 生徒さんが自分でやる部分を残す
- 曖昧な言葉を具体的な言葉に置き換える
- 実際に使えるサポート内容のテンプレート
- 自分の講座を見直すチェックリスト
「寄り添う」はサポート内容ではない
まず、はっきりさせておきたいことがあります。
「寄り添います」という言葉は、サポート内容そのものではありません。
「寄り添います」と書いてあっても、
毎日相談できるのか。
月に一度だけ話せるのか。
質問には答えてくれるのか。
気持ちの相談もできるのか。
技術的な質問だけなのか。
そこまではわかりません。
「伴走します」も同じです。
いつまで伴走するのか。
どのように伴走するのか。
何を一緒にしてくれるのか。
何は自分でするのか。
言葉だけではわかりません。
つまり、
「寄り添う」「伴走する」は印象を伝える言葉ではあっても、サービス内容を説明する言葉ではない
ということです。
受講する側が本当に知りたいのは、
「この講座に入ったら、私は何をしてもらえるのか」
です。
だから、講師側もそこを具体的にする必要があります。
まず「何をする講師なのか」を決める
サポート内容を考えるとき、多くの人は最初に、
「お客様は何を求めているだろう」
と考えます。
もちろん、それも大切です。
ただし、それだけで決めると、自分が無理をする形になりやすくなります。
たとえば、
お客様は質問無制限を喜ぶかもしれません。
毎日相談できたら安心するかもしれません。
夜でも返信があれば、うれしいかもしれません。
でも、講師であるあなたがそれを続けられなければ意味がありません。
まず考えたいのは、
私は何をする講師なのか
ということです。
たとえば、
- 知識をわかりやすく教える講師
- 考え方を整理する講師
- 実践した内容にフィードバックする講師
- 自分で判断できるように教える講師
- 具体的な行動計画を一緒に作る講師
- 決まった期間の中で集中的に支援する講師
このように、自分がすることを言葉にしてみます。
ここが決まれば、
「私は寄り添う講師です」
と表現しなくても、
何をしてくれる人なのかが見えてきます。
提供するものと提供しないものを分ける
次に必要なのは、
提供することと、提供しないことを分ける
という作業です。
これはとても重要です。
なぜなら、講師が苦しくなる原因の多くは、
「どこまでやるのか決めていない」
ことだからです。
たとえば、提供する内容として、
- 月2回のオンライン相談
- 講座内容についての質問対応
- 課題へのフィードバック
- 行動計画の確認
- 迷っているときの考え方の整理
を決めたとします。
一方で、提供しないものとして、
- 24時間いつでも返信すること
- 講座内容と関係のない相談
- 本人の代わりに決断すること
- 本人の代わりに行動すること
- 期間終了後の無期限サポート
と決めることもできます。
ここまで明確になると、講師側も楽になります。
生徒さん側も、
「ここまでは聞ける」
「ここからは自分で考える」
ということがわかります。
これは冷たいことではありません。
むしろ、
最初から約束をはっきりさせることは、親切なことです。
質問対応の範囲を具体的にする
スピ系講師のサポートで特に曖昧になりやすいのが、質問対応です。
「質問はいつでもどうぞ」
と書いてしまうと、受講する側は本当にいつでもいいと思います。
夜中でもいいのか。
土日でもいいのか。
何回聞いてもいいのか。
講座と関係のない話でもいいのか。
わからないからです。
そして講師側は、
「こんな時間に送ってくるなんて」
「こんなに何回も聞かれるとは思わなかった」
と疲れてしまうことがあります。
でも、それは相手が悪いとは限りません。
最初の説明が曖昧だった可能性があります。
たとえば、
「質問はチャットで受け付けます。平日10時から17時の間に確認し、原則2営業日以内に回答します」
と書けば、とてもわかりやすくなります。
さらに、
「質問は講座内容や実践に関するものに限ります」
と書いておくこともできます。
これなら、
どこまで相談できるのか。
いつ返事が来るのか。
講師側がどのように対応するのか。
が明確です。
「いつでも寄り添います」
と書くより、受講する人にとって安心できる場合もあります。
相談回数や対応時間を決めても冷たくはならない
「相談は月2回まで」
「返信は平日のみ」
「一回の相談は60分」
このように決めると、
「冷たいかな」
「制限しすぎかな」
と不安になる人もいます。
しかし、考えてみてください。
歯医者に行ったとき、
「先生は24時間いつでも相談してください」
とは普通言いません。
予約時間があります。
診察時間があります。
対応できる範囲があります。
それでも、
「この先生は冷たい」
とは必ずしも思いません。
むしろ、決まっているから安心できます。
講師も同じです。
時間や回数を決めることは、相手を拒絶することではありません。
サービスの形を決めているだけです。
それに、限られた時間だからこそ、
「次の相談までにここをやってみよう」
「質問を整理してから聞こう」
と、生徒さん自身が考えるようになることもあります。
「答えを教える」と「考える力を育てる」は違う
講師としてサポートするとき、
毎回答えを教える必要があるのでしょうか。
たとえば、生徒さんが、
「AとBなら、どちらを選べばいいですか?」
と聞いてきたとします。
そのとき、
「Aにしてください」
と答えれば早いでしょう。
でも、次もまた、
「これはどちらですか?」
と聞かれるかもしれません。
そこで、
「あなたはどう考えていますか?」
「AとB、それぞれを選んだとき、どうなりそうですか?」
「何を基準に選びたいですか?」
と聞く方法もあります。
これは、答えを教えていないから不親切なのでしょうか。
必ずしもそうではありません。
むしろ、
自分で考えて選べるようになる力を育てている
とも言えます。
講師の仕事は、毎回答えを渡すことだけではありません。
考え方を教えることもできます。
見るポイントを教えることもできます。
判断する基準を伝えることもできます。
そのほうが、長い目で見れば生徒さんの力になることがあります。
生徒さんが自分でやる部分を残す
サポートが手厚すぎると、
生徒さん自身がやる部分がなくなることがあります。
講師が毎回考える。
講師が毎回答えを出す。
講師が毎回判断する。
講師が毎回背中を押す。
講師が毎回安心させる。
これを続けると、
生徒さんは、
「先生に聞けばいい」
となるかもしれません。
その状態では、講座が終わったあとに困ります。
先生がいなくなるからです。
だからこそ、
生徒さんが自分でやる部分を、あえて残す
ことも必要です。
たとえば、
- まず自分の考えを書いてから質問してもらう
- 三つの選択肢を自分で出してもらう
- 行動する日は本人に決めてもらう
- 最終的な判断は本人に任せる
- 次回までの課題を本人に決めてもらう
こうした方法があります。
講師が何もしないということではありません。
必要なところでは教えます。
考え方も伝えます。
間違っているところがあれば修正します。
ただし、すべてを代わりにしない。
そこが大切です。
曖昧な言葉を具体的な言葉に置き換える
では、実際に、
「寄り添います」
「伴走します」
という言葉を使わずに、どう伝えればいいのでしょうか。
いくつか例を見てみましょう。
たとえば、
「あなたに寄り添います」
ではなく、
「月2回の個別相談で、今つまずいているところを一緒に整理します」
と書くことができます。
「最後まで伴走します」
ではなく、
「3か月間、講座内容の実践について質問を受け付けます」
と書けます。
「何でも相談してください」
ではなく、
「講座内容と実践に関する質問をチャットで受け付けます」
と書けます。
「あなたを一人にしません」
ではなく、
「月ごとに進み具合を確認し、次にすることを整理します」
と書けます。
「優しくサポートします」
ではなく、
「わからないところは、理解できるまで言葉を変えて説明します」
と書くこともできます。
この違いは大きいです。
具体的な言葉にすると、
講師が何をするのかがわかります。
受講する側も、期待する内容が明確になります。
そして何より、
講師自身が、何を約束しているのかを理解できます。
実際に使えるサポート内容のテンプレート
ここからは、実際に講座案内などで使える形にしてみます。
そのまま使うのではなく、自分の講座に合わせて変更してください。
個別相談がある場合
「講座期間中は月2回、60分の個別相談を行います。実践していてわからなかったことや、次に何をすればよいか迷っていることを整理します。」
チャットサポートがある場合
「講座内容と実践に関する質問は、専用チャットで受け付けます。平日に確認し、原則2営業日以内に回答します。」
課題への添削がある場合
「提出された課題には、良かった点と見直したほうがよい点を具体的にお伝えします。」
自分で考えることを大切にする場合
「すぐに答えをお渡しするのではなく、必要に応じて質問をしながら、ご自身で判断できるように考え方を整理します。」
サポート範囲を明確にする場合
「サポートは講座内容と、その実践に関するご相談が対象です。個人的な生活相談や、講座内容と関係のないご相談は対象外となります。」
期間を明確にする場合
「質問サポートは受講開始日から3か月間です。期間終了後の継続相談をご希望の場合は、別途個別相談をご利用いただけます。」
連絡時間を明確にする場合
「メッセージはいつ送っていただいても構いませんが、確認と返信は平日の営業時間内に行います。」
このように書けば、
「寄り添います」
という言葉がなくても、十分にサポート内容は伝わります。
むしろ、何をしてもらえるのかがはっきりするので、受講前の不安も減らしやすくなります。
自分の講座を見直すチェックリスト
最後に、自分の講座やセッションを確認してみてください。
- 私は何を教える講師なのか、一文で説明できますか?
- 講座の中で、必ず提供するサポートは何ですか?
- 反対に、提供しないサポートは何ですか?
- 質問は何について受け付けますか?
- 質問できる回数や期間は決まっていますか?
- 返信する曜日や時間は決まっていますか?
- 個別相談の回数と時間は決まっていますか?
- 講師が答えることと、生徒さん自身に考えてもらうことを分けていますか?
- 生徒さんの代わりに判断しすぎていませんか?
- 「いつでも」「何でも」「ずっと」という言葉を簡単に使っていませんか?
- 今のサポート内容を、受講生が増えても続けられますか?
- 自分が疲れているのに、良い先生に見られるために続けているサポートはありませんか?
- 曖昧な「寄り添う」という言葉を、具体的な行動に置き換えられますか?
もしこの質問に答えにくいところがあるなら、
そこが今の講座の曖昧な部分です。
すぐにすべてを変える必要はありません。
まずは一つだけでも、
「私は何をするのか」
「私は何をしないのか」
を決めてみてください。
それだけでも、生徒さんとの関係はかなり変わります。
まとめ+要約
「寄り添います」
「伴走します」
という言葉は、やさしく聞こえます。
しかし、実際に何をしてもらえるのかは、ほとんどわかりません。
だからこそ、講師として必要なのは、
優しさを宣言することより、実際に何を提供するのかを明確にすること
です。
相談は何回できるのか。
質問は何についてできるのか。
返信はいつするのか。
どこまで講師が答えるのか。
どこから先は本人が考えるのか。
サポート期間はいつまでなのか。
こうしたことが明確であれば、
「寄り添います」と言わなくても、十分に安心感は作れます。
そして、講師側も無理をしにくくなります。
何でも引き受ける必要はありません。
いつでも返信する必要もありません。
毎回答えを教える必要もありません。
最後まで手を握り続ける必要もありません。
講師がすべきことは、
自分が提供すると決めたことを、きちんと提供することです。
そして、生徒さん自身が考え、選び、行動する部分を残すことです。
それは突き放すことではありません。
自分で進める人になってもらうための教え方でもあります。
もし今、
「何となく手厚くしないといけないと思っている」
「質問無制限にしているけれど、正直しんどい」
「講師としてどこまでやればいいのかわからない」
と感じているなら、
まずは「寄り添えるかどうか」を考えるのではなく、
何を提供し、何を提供しないのか
を書き出してみてください。
そこが決まると、自分の講座の形が少しずつはっきりしてきます。
Day4では、
「手厚くすれば満足される」は本当なのか?サポートを増やしすぎた講師が見直したいこと
を考えます。
サポートを増やせば増やすほど良い講座になるとは限りません。
むしろ、講師も生徒さんも苦しくなる場合があります。
自分の講座のサポート範囲を一度整理したい場合は、LINEからご相談ください。
よくある質問
「寄り添います」と書くのはやめたほうがいいですか?
必ずやめる必要はありません。本当に自分の姿勢を表しているのであれば使っても構いません。ただし、それだけでは具体的なサポート内容が伝わらないため、何をするのかも一緒に説明したほうがわかりやすくなります。
サポート内容を細かく決めると、融通が利かなくなりませんか?
基本的な範囲を決めたうえで、必要に応じて例外対応をすることはできます。最初から何も決めないことと、基本を決めたうえで柔軟に対応することは違います。
質問回数を制限すると、お客様に嫌がられませんか?
人によって受け取り方は異なりますが、回数だけでなく、その中でどのようなサポートが受けられるのかを具体的に伝えることが大切です。無制限という言葉だけで安心感を作る必要はありません。
生徒さんから講座と関係のない相談をされたらどうすればいいですか?
サポート範囲外であることを丁寧に伝えて構いません。「今回の講座ではこの範囲までを扱っています」と説明すると、個人を拒絶するのではなく、サービス範囲の説明として伝えやすくなります。
どこまで答えて、どこから本人に考えてもらえばいいかわかりません。
知識が不足していて判断できない場合は教え、すでに必要な情報を持っている場合は本人に考えてもらう、という分け方が一つの目安です。すべての場面で正解があるわけではありませんが、「今必要なのは答えか、考え方か」を見ると整理しやすくなります。
自分で考えてもらうと、サポート不足だと思われませんか?
ただ「自分で考えてください」と言うだけでは、そう感じられることもあります。しかし、考えるための基準や質問を渡し、そのうえで本人に選んでもらうのであれば、それも立派なサポートです。
サポートを減らしたら商品の価値も下がりませんか?
サポート量と価値は必ずしも同じではありません。必要なところに必要なサポートがあることのほうが重要です。回数を多くするより、一回ごとの目的が明確なほうが受講生にとって役立つ場合もあります。
どんな言葉なら「寄り添います」の代わりになりますか?
「相談内容を整理します」「実践した内容にフィードバックします」「判断するための考え方をお伝えします」「月2回の個別相談があります」など、実際にする行動をそのまま書く方法があります。
サポート範囲を決めても、自分だけ守れなさそうです。
その場合は、最初から厳しいルールにする必要はありません。まずは「返信する時間を決める」「講座外の相談にはその場で答えない」など、一つだけ決めて実践してみてください。自分が守れる範囲から始めることが大切です。
自分の講座に必要なサポート量がわかりません。
まず、受講生が目標に到達するために、どこでつまずきやすいかを書き出してみてください。そのつまずきに必要なサポートだけを考えると、単純に「手厚くする」という考えから離れやすくなります。