
「みてください」への返し方で変わる|うまくいかないヒアリングと相談が整理されるヒアリング
クライアントから、 「みてください」 「何かわかりますか?」 「今の私をみてもらえますか?」 と言われたとき、 どのように返すかによって、その後のセッションの流れは大きく変わります。
Day1では、すぐに「みますね」と始めるのではなく、 まず何について知りたいのか、何のために知りたいのかを確認することをお伝えしました。
Day2では、 クライアント自身が相談内容をうまく言葉にできない場合に、 どのような質問をすると話しやすくなるのかを整理しました。
Day3では、 実際によく起こりやすい場面を使って、 「うまくいかないヒアリング」と 「相談内容が整理されるヒアリング」の違いを見ていきます。
どちらも、クライアントを助けたいという気持ちから出る対応です。 ただ、少し質問の仕方を変えるだけで、 相手が話しやすくなったり、 今日扱うテーマが明確になったりします。
この記事の要約
「みてください」と言われたとき、 すぐに答えを出したり、 相手の気持ちを決めつけたりすると、 本当に相談したいことからずれてしまうことがあります。
一方で、 「何が気になっていますか?」 「その中で今日は何を知りたいですか?」 「それがわかったら、どうしたいですか?」 と順番に確認すると、 クライアント自身も相談内容を整理しやすくなります。
大切なのは、 たくさん質問することではなく、 相手の話を聞きながら、 今日の相談テーマを一緒に決めていくことです。
同じ「みてください」でも、返し方でセッションは変わる
クライアントの最初の言葉が同じでも、 講師側がどう返すかによって、 その後のやり取りは変わります。
たとえば、 クライアントから次のように言われたとします。
「先生、今の私をみてもらえますか?」
このとき、 すぐに何かを感じ取ろうとしたり、 こちらから話し始めたりすると、 相手が本当に知りたいことを確認しないまま、 セッションが進んでしまうことがあります。
反対に、 最初に少しだけヒアリングをすると、 同じ「みてください」でも、 具体的な相談へ変わっていきます。
説明用の仮想ケース1|すぐにみ始めてしまう
ここからは、 実際の人物ではなく、説明用の仮想ケースとして見ていきます。
クライアント
「今の私をみてください。」
講師
「わかりました。みますね。」
そのまま講師が感じたことを伝え始めます。
「今、少し疲れている感じがあります。」
「人間関係で気を使っているのかもしれません。」
「少し休んだほうがいいように感じます。」
ここまで聞くと、 一見、スムーズなセッションに見えるかもしれません。
しかし、 クライアントが本当に聞きたかったのは、 仕事を続けるかどうかだったかもしれません。
または、 パートナーとの関係をどうするか迷っていたのかもしれません。
もしそうであれば、 講師が伝えた内容が間違っているかどうかとは別に、 クライアントが知りたかったことには、 まだ答えられていない可能性があります。
このケースで起こりやすいこと
すぐにみ始めると、 講師側はたくさん話しているのに、 クライアント側には、 「それで私はどうすればいいんだろう」 という疑問が残ることがあります。
また、 セッションの最後になってから、 「実は仕事のことを聞きたかったんです」 と言われることもあります。
すると、 そこから改めて本題に入ることになり、 時間も使います。
こうした状態を減らすためには、 最初の数分で相談の方向を確認しておくことが大切です。
説明用の仮想ケース2|最初から答えを決めつけてしまう
クライアント
「最近ちょっとモヤモヤしていて、みてもらえますか?」
講師
「仕事ですよね?」
クライアント
「あ、仕事も少しあります。」
講師
「やっぱりそうですよね。今の仕事を辞めたいんじゃないですか?」
このようなやり取りでは、 講師側が答えを先に出しています。
クライアントが本当に仕事について悩んでいた可能性もあります。
ただし、 最初から「仕事ですよね?」と聞くと、 相手はその方向で答えやすくなります。
本当は、 家族とのことが一番気になっていたとしても、 「仕事も少しあります」と話を合わせることもあります。
決めつける質問と、確認する質問は違う
ヒアリングでは、 質問をしているつもりでも、 実際には答えを決めつけている場合があります。
たとえば、 次のような質問です。
- 「本当は仕事を辞めたいんですよね?」
- 「その人とは離れたいと思っているんですよね?」
- 「自信がないことが原因ですよね?」
- 「過去のことが影響しているんじゃないですか?」
これらは、 相手に確認しているように見えて、 すでにこちらの考えが入っています。
それよりも、 次のような聞き方に変えます。
- 「仕事について、今どんなことが気になっていますか?」
- 「その人との関係について、今どう感じていますか?」
- 「今の状況で、一番困っていることは何でしょう?」
- 「ご自身では、どんなことが関係しているように感じますか?」
このような質問なら、 クライアント自身の言葉を引き出しやすくなります。
説明用の仮想ケース3|質問が多すぎて尋問のようになる
クライアント
「仕事のことで少し悩んでいます。」
講師
「いつからですか?」
「何があったんですか?」
「上司ですか?」
「同僚ですか?」
「辞めたいんですか?」
「転職先は決まっていますか?」
「家族には相談しましたか?」
「収入は大丈夫ですか?」
たくさん質問しているので、 丁寧なヒアリングのようにも見えます。
しかし、 クライアントからすると、 次々に答えなければならないため、 落ち着いて考える時間がありません。
また、 講師が聞きたいことを聞いているだけになり、 クライアントが本当に話したいことが出てこない場合もあります。
ヒアリングでは「一つ聞いて、一度受け取る」
質問をしたら、 すぐに次の質問へ進む必要はありません。
相手が答えたら、 一度その内容を受け取ります。
たとえば、 クライアントが 「仕事に行くのが毎朝つらいんです」 と言ったとします。
そこで、 「毎朝、仕事に行くのがつらい感じなんですね」 と確認します。
そのあとに、 「一番つらいと感じるのは、どんなところでしょう?」 と聞きます。
このように、 一つ聞いて、 一度相手の言葉を受け取り、 そこから次の質問を考えると、 会話が自然になります。
説明用の仮想ケース4|相談が整理される聞き方
次に、 同じような場面で、 相談内容を整理しながら進める例を見てみます。
クライアント
「先生、今の私をみてもらえますか?」
講師
「もちろんです。今日は、特にどんなことが気になっていますか?」
クライアント
「なんとなくこのままでいいのかなと思っていて。」
講師
「このままでいいのかな、という感じがあるんですね。 それは仕事のこと、人間関係のこと、自分自身のことなど、 どのあたりが一番近いでしょう?」
クライアント
「仕事だと思います。」
講師
「仕事についてなんですね。 今の仕事を続けることに迷っている感じでしょうか。 それとも、仕事の中で何か困っていることがありますか?」
クライアント
「続けるかどうかに迷っています。」
講師
「なるほど。 今日の時間では、 今の仕事を続けるかどうかを考えるために、 自分の気持ちやこれからの方向を整理したい感じでしょうか?」
クライアント
「はい。そうです。」
最初は、 「今の私をみてください」 という広い相談でした。
しかし、 いくつか質問をすることで、 「今の仕事を続けるかどうかを考えるために、 自分の気持ちと今後の方向を整理したい」 という相談に変わっています。
この聞き方のポイント
この例では、 講師が最初から答えを決めていません。
クライアントが話した言葉を受け取りながら、 少しずつ具体的にしています。
流れを整理すると、 次のようになります。
- まず気になっていることを聞く
- 大きなテーマを確認する
- その中で何に迷っているのかを確認する
- 今日のセッションで何を整理したいのかを確認する
この段階まで進むと、 講師側も 「何をみればいいのかわからない」 という状態から抜けやすくなります。
クライアント側も、 「自分は今日はこのことを相談したかったんだ」 と整理しやすくなります。
「何を知りたいですか?」だけで終わらない
Day1、Day2でもお伝えしたように、 「何について知りたいですか?」 という質問は大切です。
ただ、 それだけではまだ相談の目的がわからないことがあります。
たとえば、 クライアントが 「彼とのことを知りたいです」 と答えたとします。
ここでそのままリーディングを始めるのではなく、 もう一つ確認してみます。
「彼とのことで、今日は何を一番知りたいですか?」
すると、 「相手の気持ちが知りたい」 という人もいれば、 「この関係を続けるか考えたい」 という人もいます。
さらに、 「それがわかったら、どうしたいですか?」 と聞くことで、 相談の目的がよりはっきりします。
同じ相談テーマでも目的は違う
たとえば、 3人のクライアントが全員 「仕事についてみてほしい」 と言ったとします。
それでも、 本当に知りたいことはそれぞれ違うことがあります。
- Aさんは、今の仕事を続けるか考えたい
- Bさんは、職場の人間関係をどうすればよいか整理したい
- Cさんは、自分に向いている働き方を考えたい
「仕事について」という言葉だけで進めると、 こうした違いを見落としやすくなります。
だからこそ、 テーマだけでなく、 「今日は何を知りたいのか」 「それを知ってどうしたいのか」 まで確認することが大切です。
「未来を教えてください」と言われた場合
スピリチュアル系のセッションでは、 「これからどうなりますか?」 「未来をみてください」 と言われることもあります。
この場合も、 すぐに未来について話し始めるのではなく、 まず何について知りたいのかを確認します。
たとえば、 「これからのことで、特に気になっているのはどのようなことですか?」 と聞きます。
相手が 「仕事です」 と答えたら、 「仕事がこれからどうなるかを知りたいのでしょうか。 それとも、ご自身がどう動くかを考えたいのでしょうか?」 と聞くこともできます。
未来についてのスピリチュアルな見方は、 一つの解釈やセッション上の考え方として扱うことが大切です。
将来が必ずその通りになると断定するのではなく、 クライアント自身が今後を考えるための材料として伝える姿勢が必要です。
「私のこと全部わかりますか?」と言われた場合
初見の人から、 「私のこと、全部わかりますか?」 と聞かれることもあります。
このとき、 能力を試されているように感じて、 何かを当てなければと思う人もいるかもしれません。
しかし、 そこで無理に答える必要はありません。
たとえば、 「今日は何か相談したいことがありますか?」 と返すことができます。
または、 「私のセッションでは、何について知りたいかを確認してから進めています」 と説明してもよいでしょう。
自分のセッションの進め方をきちんと伝えることは、 クライアントとの関係を作るうえでも大切です。
「みてください」に全部応えようとしなくていい
スピリチュアル系の講師として活動していると、 「何でもわからないといけない」 「すぐに答えられないといけない」 と感じることがあります。
しかし、 クライアントの人生について、 提供者がすべてわかる必要はありません。
また、 すべてを一度のセッションで扱う必要もありません。
相手が今、一番整理したいことを確認し、 そのテーマについて、 自分が提供できる範囲でサポートすることが大切です。
相談内容によっては、 「これは私のセッションで扱える範囲です」 と伝えることもあれば、 「この部分は専門家に相談したほうがよい内容です」 と伝えることもあります。
できることと、できないことを分けることも、 信頼につながる大切な姿勢です。
うまくいかないヒアリングに共通する4つのこと
ここまでの例を整理すると、 うまくいきにくいヒアリングには、 いくつか共通する特徴があります。
-
すぐに答えを出してしまう
相手が本当に知りたいことを確認する前に、 講師側が話し始めてしまいます。
-
相手の気持ちを決めつける
「本当はこう思っていますよね?」 とこちら側の答えに当てはめてしまいます。
-
質問をしすぎる
次々と質問すると、 クライアントが考える時間を持ちにくくなります。
-
相談の目的を確認しない
何について知りたいかは聞いても、 それを知ってどうしたいのかまで確認していません。
相談が整理されるヒアリングに共通する4つのこと
-
最初に相談の方向を確認する
「今日は何が気になっていますか?」 と聞き、いきなり答えを出しません。
-
相手の言葉を使う
クライアントが 「モヤモヤする」 と言ったら、 すぐに別の意味へ変えず、その言葉を受け取ります。
-
一つずつ聞く
一度にたくさん質問せず、 一つ聞いて、答えを受け取ってから次へ進みます。
-
最後に目的を確認する
「今日の時間で何を整理したいのか」 を確認してからセッションを進めます。
セッションを始める前に、一度まとめて確認する
ヒアリングが終わったら、 すぐに本題へ入るのではなく、 一度まとめて確認すると、 お互いの認識を合わせやすくなります。
たとえば、 次のように伝えます。
「では今日は、 今の仕事を続けるかどうかを考えるために、 ご自身の気持ちとこれからの方向について見ていきたい、 ということで合っていますか?」
クライアントが 「はい」 と答えれば、 今日扱うテーマが明確になります。
もし、 「少し違います」 と言われた場合も、 この段階で修正できます。
この確認を入れることで、 セッションの途中で 「聞きたかったことと違う」 となる可能性を減らせます。
今日から使える基本の返し方
クライアントから、 「みてください」 と言われたら、 次のような流れを基本にしてみてください。
-
まず受け取る
「はい。今日はどんなことが気になっていますか?」
-
大きなテーマを確認する
「仕事、人間関係、自分自身のことなどでは、どれが近いでしょう?」
-
知りたいことを確認する
「そのことについて、今日は何を一番知りたいですか?」
-
目的を確認する
「それがわかったら、どうしたいですか?」
-
相談内容をまとめて確認する
「では今日は、○○について整理していくということで合っていますか?」
毎回この通りに聞かなければいけないわけではありません。
クライアントの話し方や相談内容に合わせて、 必要な質問だけ使ってください。
今日の実践ポイント
次に「みてください」と言われたら、 まず一つだけ意識してみましょう。
それは、 いきなり答えを出さないことです。
最初に、 「今日は何について知りたいですか?」 と聞いてみます。
そして、 相手の答えを聞いてから、 「それについて何を知りたいですか?」 「それがわかったらどうしたいですか?」 と必要に応じて続けます。
たった数分のヒアリングでも、 セッションの方向はかなり変わります。
まとめ
クライアントから 「みてください」 と言われたとき、 返し方によってセッションの流れは変わります。
すぐにリーディングを始めたり、 相手の気持ちを決めつけたりすると、 本当に相談したかったことからずれてしまう場合があります。
また、 ヒアリングが大切だからといって、 質問をたくさんすればよいわけでもありません。
大切なのは、 一つ質問したら、 相手の答えを聞き、 そこから必要な質問を一つずつ続けることです。
「何が気になっていますか?」 「今日は何を知りたいですか?」 「それがわかったら、どうしたいですか?」 と確認していくことで、 曖昧だった相談が、 今日扱う具体的なテーマへ変わっていきます。
スピリチュアルなセッションでも、 何かを当てることだけが大切なのではありません。
クライアントが自分の状況を整理し、 何について考えたいのかを確認できるようにすることも、 大切なサポートの一つです。
要点
- 「みてください」と言われても、すぐにみ始めなくてよい
- 最初に相談の方向を確認する
- 相手の気持ちや答えを決めつけない
- 質問を一度にたくさんしない
- 一つ聞いて、一度相手の答えを受け取る
- 「何について知りたいのか」だけでなく「それを知ってどうしたいのか」も確認する
- セッション開始前に、今日扱うテーマをまとめて確認する
- ヒアリングは能力を証明するためではなく、クライアントの目的を合わせるために行う
よくある質問
クライアントが「とにかく何か言ってください」と言ったらどうしますか?
その場合も、 「もちろんですが、少しでも今気になっていることはありますか?」 と確認してみるとよいでしょう。
それでも特にない場合は、 自分のセッションがどのような進め方なのかを説明し、 必要な範囲でテーマを決めてから進める方法があります。
ヒアリングをすると、直感が鈍くなりませんか?
ヒアリングと直感は、 どちらか一方を選ぶものではありません。
クライアントが何を知りたいのかを確認したうえで、 自分のセッション方法に合わせてリーディングや対話を行うことができます。
どこまで質問したら十分でしょうか?
少なくとも、 「何について相談したいのか」 「何を知りたいのか」 「それを知ってどうしたいのか」 がある程度わかれば、 セッションを始めやすくなります。
クライアントが途中で話を変えた場合はどうしますか?
話しているうちに、 本当に気になっていたことが見えてくる場合があります。
そのときは、 「今は最初のテーマより、こちらのことのほうが気になっていますか?」 と確認し、 必要であれば今日扱うテーマを変更してもよいでしょう。
質問すると、相手に答えを教えてもらっているようで不安です
ヒアリングの目的は、 答えを教えてもらうことではありません。
何について相談したいのか、 どのような目的があるのかを確認するために行います。
セッションの方法と、 相談内容を確認することは分けて考えるとよいでしょう。
次回予告
Day4では、 実際のセッションですぐに使えるように、 「みてください」と言われたときのヒアリング手順を、 さらにシンプルな形にまとめます。
セッション前に使えるチェック項目や、 話がまとまらないときに戻るポイントなど、 日々の実践に使いやすい形で整理していきます。
相談について
「クライアントに何を質問すればよいかわからない」 「話を聞いているうちに、セッションの方向がわからなくなる」 「すぐに答えなければと思って焦ってしまう」 という場合は、 セッションの最初の流れを一度整理してみることが大切です。
ヒアリングの型があると、 その場で毎回ゼロから考えなくても、 クライアントの話に集中しやすくなります。
自分のセッションに合ったヒアリングの流れを整えたい方は、 LINEからご相談ください。