
「みてください」としか言えないクライアントに、どう質問すればいいのか
セッションをしていると、 「みてください」 「何かわかりますか?」 「今の私ってどうですか?」 とだけ伝えてくるクライアントに出会うことがあります。
Day1では、こうしたときにすぐ「みますね」と始めるのではなく、 まず「何について知りたいのか」「何のために知りたいのか」を確認することが大切だとお伝えしました。
ただ、実際には、 「何について知りたいですか?」 と聞いても、 「それが自分でもよくわからなくて」 と返ってくることもあります。
そこでDay2では、 クライアントが自分の相談内容をうまく言葉にできないときに、 どのように質問していけばよいのかを、具体的に整理していきます。
この記事の要約
クライアントが「みてください」としか言えないとき、 その人に相談したいことがないとは限りません。 むしろ、悩みが整理できていなかったり、 何を質問すればよいのかわからなかったりすることがあります。
そのようなときは、こちらが答えを決めつけるのではなく、 「最近気になっていることはありますか?」 「仕事、人間関係、自分自身のことでは、どれが近いですか?」 など、答えやすい質問を使いながら相談内容を整理していくことが大切です。
「みてください」と言う人が、何も考えていないとは限らない
クライアントから「みてください」と言われると、 提供する側としては、 「何をみればいいのだろう」 と戸惑うことがあります。
中には、 「ちゃんと質問を考えてから来てほしい」 と感じる人もいるかもしれません。
ですが、 「みてください」としか言えないからといって、 相手に相談したいことがないとは限りません。
本人の中では、 何か気になっていることがあっても、 まだ言葉として整理できていない場合があります。
たとえば、 「最近なんとなく仕事がしんどい」 「人間関係で引っかかっていることがある」 「このままでいいのかわからない」 という状態です。
本人にもはっきり説明できないため、 それをまとめて「みてください」という言葉で表していることがあります。
クライアントが相談内容を言葉にしにくい理由
クライアントが相談内容をうまく話せない理由はいくつか考えられます。
ここで大切なのは、 相手の気持ちを勝手に決めつけることではありません。
「こういう場合もある」という見方として考えてみてください。
何から話せばいいかわからない
悩みがいくつも重なっていると、 本人もどこから説明すればよいかわからなくなることがあります。
仕事のことが気になっていたとしても、 その背景には家族関係や人間関係、 自分への自信のなさなど、 いくつかの要素が重なっているかもしれません。
そのようなときに、 「何を相談したいですか?」 と急に聞かれても、 一つに絞るのが難しいことがあります。
相談することに慣れていない
普段、自分の気持ちや悩みを人に話す機会が少ない人もいます。
そのような人は、 困っていることがあっても、 それを「相談する言葉」に変えることに慣れていません。
そのため、 「うまく説明できないので、とりあえずみてもらいたい」 という形になることがあります。
スピリチュアルなセッションは、何も言わなくてもわかるものだと思っている
スピリチュアル系のサービスでは、 「何も話さなくても全部わかる」 「質問しなくても答えが出る」 というイメージを持っている人もいます。
そのため、 あえて自分の状況を詳しく話さず、 「みてください」 と伝えることがあります。
しかし、セッションをより役立つ時間にするためには、 必要な範囲で状況や目的を確認することは不自然ではありません。
自分でも本当の悩みがわかっていない
最初に話していた悩みと、 実際に話を進めたあとに見えてくる悩みが違うこともあります。
たとえば、 「転職について知りたい」 と言っていた人が、 話を聞いていくと、 本当に気になっていたのは 「自分の選択に自信が持てないこと」 だった、というようなケースです。
だからこそ、 最初から答えを決めつけず、 対話しながら相談テーマを整理していくことが大切になります。
最初から深い質問をしなくてもいい
ヒアリングというと、 たくさん質問しなければならないように感じるかもしれません。
ですが、 最初から細かく聞きすぎる必要はありません。
むしろ、 クライアントがまだ話す準備ができていない段階で、 次々に質問すると、 「何を答えたらいいのかわからない」 と感じさせてしまうこともあります。
最初は、 答えやすい質問から始めることが大切です。
たとえば、 「最近、特に気になっていることはありますか?」 という質問なら、 相談内容を一つに決めなくても答えやすくなります。
使いやすい質問1「最近、気になっていることはありますか?」
「何を相談したいですか?」 と聞かれると、 相手は「相談内容をきちんとまとめなければ」と感じる場合があります。
一方で、 「最近、気になっていることはありますか?」 という質問なら、 もっと自由に答えることができます。
たとえば、 「最近、仕事に行くのが少ししんどくて」 「家族とのことで気になることがあります」 「理由はわからないけれど、なんとなくモヤモヤしています」 という話が出てくるかもしれません。
この最初の一言から、 セッションで扱うテーマを少しずつ整理していきます。
使いやすい質問2「仕事、人間関係、自分自身のことでは、どれが近いですか?」
クライアントが 「特に思いつかないです」 「よくわからないです」 と答えた場合には、 選択肢を出す方法もあります。
たとえば、 「仕事、人間関係、自分自身のことなどがありますが、今一番近いのはどれでしょう?」 と聞いてみます。
すると、 「仕事かもしれません」 と答えやすくなります。
選択肢を出す目的は、 相手をその枠に当てはめることではありません。
話し始めるためのきっかけを作ることです。
もし相手が 「どれとも少し違います」 と言ったのであれば、 「では、どんな感じに近いでしょう?」 と聞けばよいのです。
使いやすい質問3「今、一番困っていることは何ですか?」
話がいくつも出てきたときには、 「今、一番困っていることは何ですか?」 と聞く方法があります。
たとえば、 クライアントが 仕事のこと、 家族のこと、 将来のことを同時に話し始めたとします。
すべてを一度に扱おうとすると、 セッションの焦点がぼやけやすくなります。
そこで、 「いろいろ気になっていることがあるのですね。 その中で、今日一番整理したいことはどれでしょう?」 と確認します。
こうすると、 今日のセッションで扱うテーマを決めやすくなります。
使いやすい質問4「それがわかったら、どうなりたいですか?」
相談内容が見えてきたら、 次に確認したいのが、 「そのことを知ったあと、どうしたいのか」 です。
たとえば、 「彼との今後をみてほしい」 と言われたとします。
そこで、 「今後がわかったら、どうしたいと考えていますか?」 と聞いてみます。
すると、 「関係を続けるか決めたい」 「相手のことを理解したい」 「自分の気持ちを整理したい」 など、 相談の目的が見えてくることがあります。
同じ「今後を知りたい」という相談でも、 目的によって必要なサポートは変わります。
質問するときに大切なのは、答えを誘導しないこと
ヒアリングでは、 質問の仕方にも注意が必要です。
たとえば、 「本当は今の仕事を辞めたいんですよね?」 と聞くと、 相手はその方向に答えやすくなります。
また、 「その人とは離れたほうがいいと思っているのではありませんか?」 と聞けば、 クライアントの考えをこちら側が決めてしまうことになります。
こうした聞き方ではなく、 できるだけ相手が自由に答えられる形にします。
たとえば、 「今の仕事について、どんなところが気になっていますか?」 「その人との関係について、今どう感じていますか?」 と聞きます。
ヒアリングの目的は、 提供者が考えた答えへ相手を誘導することではありません。
クライアント自身が、 自分の状況や気持ちを整理できるようにすることです。
「当てること」よりも「一緒に整理すること」を大切にする
スピリチュアル系の仕事では、 「言っていないことを当てられる人のほうがすごい」 という考え方に触れることがあります。
そのため、 クライアントから何も聞かずに答えなければいけないような気持ちになる人もいます。
しかし、 セッションの目的は、 提供者の能力を証明することだけではありません。
クライアントが今の状況を理解し、 自分に必要なことを整理し、 次の行動を考えられるようになることも大切です。
そのためには、 必要なことを聞くことは悪いことではありません。
むしろ、 相手の目的を確認しないまま一方的に話を進めるより、 丁寧に確認しながら進めたほうが、 セッションの方向を合わせやすくなります。
説明用の例:「何でもいいからみてください」と言われた場合
ここでは説明用の仮想ケースを見てみましょう。
クライアントから、 「特に質問はないんですけど、何でもいいのでみてください」 と言われたとします。
このとき、 すぐにリーディングを始めるのではなく、 次のように聞くことができます。
「わかりました。では、最近の生活の中で、少し気になっていることはありますか?」
クライアントが、 「最近、仕事に行くのがなんとなく嫌なんです」 と答えたとします。
そこでさらに、 「仕事内容そのものが気になるのか、 人間関係なのか、 これから続けていくことに迷っているのか、 どのあたりが一番近いでしょう?」 と聞きます。
クライアントが、 「続けていくことに迷っています」 と答えたら、 さらに、 「今後を知って、どんなことを決めたいですか?」 と聞きます。
すると、 「今の職場を続けるか、別の仕事を探すかを考えたいです」 という具体的な相談内容が見えてきます。
最初は、 「何でもいいからみてください」 だった相談が、 数回の質問によって、 「今の仕事を続けるかどうかを整理したい」 というテーマに変わっています。
ヒアリングは尋問ではない
ヒアリングを大切にすると聞くと、 「たくさん質問しなければいけない」 と思うかもしれません。
しかし、 質問が多ければよいわけではありません。
質問を次々に続けると、 クライアントが 「正しく答えなければいけない」 と緊張してしまうこともあります。
大切なのは、 一つ質問したら、 相手の答えをきちんと聞くことです。
そして、 その答えの中から次の質問を考えます。
用意した質問を順番に聞くことよりも、 相手の話に合わせながら進めることが大切です。
沈黙があっても、すぐに埋めなくていい
質問したあと、 クライアントがすぐに答えないこともあります。
そのとき、 提供者側が不安になって、 「仕事ですか?」 「恋愛ですか?」 「家族ですか?」 と次々に言葉を足したくなることがあります。
ですが、 相手が考えている途中の場合もあります。
少し待つことで、 クライアント自身の言葉が出てくることがあります。
セッションでは、 すぐに答えが出ることだけを良しとせず、 相手が自分の中を確認する時間も大切にします。
クライアントの言葉をそのまま返す方法も使える
何を質問すればよいかわからなくなったときは、 相手が話した言葉を確認する方法があります。
たとえば、 クライアントが、 「最近、仕事に行くのが重たい感じがするんです」 と言ったとします。
そこで、 「仕事に行くのが重たい感じがするのですね」 と一度受け取ります。
そのあと、 「その感じは、いつ頃からありますか?」 と聞くことができます。
相手が使った言葉をこちらが勝手に別の意味へ変えないことで、 クライアントの感覚を尊重しながら話を進めやすくなります。
スピリチュアルな解釈を先に決めない
スピリチュアル系のセッションでは、 出来事や感情について、 エネルギーや魂、使命などの考え方を使う場合があります。
こうした見方は、 スピリチュアル領域で用いられる一つの解釈です。
ただし、 相手の悩みを聞く前から、 「それは魂の課題です」 「エネルギーが乱れているからです」 などと原因を決めてしまうと、 クライアント本人の状況を十分に確認できないことがあります。
まずは、 実際にどのようなことが起きているのか、 本人が何を感じているのかを聞くことが大切です。
そのうえで、 自分のセッションで扱う考え方がある場合には、 「こういう見方もあります」 と位置づけながら伝えるとよいでしょう。
相談の範囲を確認することも大切
話を聞いていると、 スピリチュアルなセッションの範囲だけでは扱いにくい相談が出てくることもあります。
たとえば、 医療的な判断、 深刻な心理状態、 法律、 税金、 投資など、 専門的な判断が必要な内容です。
そのような場合は、 自分だけですべて答えようとせず、 必要に応じて適切な専門家への相談を案内することも大切です。
スピリチュアルなセッションは、 医療や法律などの専門的な支援の代わりになるものではありません。
できることと、できないことを整理しておくことは、 クライアントを守るだけでなく、 提供する側を守ることにもつながります。
今日から使えるヒアリングの流れ
「みてください」と言われたときは、 次のような順番で確認していくと整理しやすくなります。
-
最近気になっていることを聞く
「最近、何か気になっていることはありますか?」
-
テーマを絞る
「仕事、人間関係、自分自身のことでは、どれが近いですか?」
-
今一番扱いたいことを確認する
「その中で、今日は何を一番整理したいですか?」
-
目的を確認する
「それがわかったら、どうしたいですか?」
-
セッションで扱う内容を確認する
「では今日は、そのことについて一緒に見ていきましょう」
この順番をそのまま毎回使う必要はありません。
大切なのは、 クライアントが自分の相談内容を整理できるように、 必要なところだけ質問することです。
ヒアリングで避けたい対応
反対に、 次のような対応は注意したいところです。
- 何も聞かずにすぐリーディングを始める
- 相手の気持ちをこちら側で決めつける
- 質問攻めにする
- 自分が言いたいことへ誘導する
- クライアントが話した内容をすぐ否定する
- スピリチュアルな原因だけで説明しようとする
- 自分の専門範囲を超えた内容まで答えようとする
ヒアリングは、 正しい答えを引き出すための作業ではありません。
クライアントが安心して話しながら、 「今日は何について考えたいのか」 を一緒に見つけていく時間です。
今日からできる実践
次のセッションで、 クライアントから 「何でもいいのでみてください」 と言われたら、 すぐに始める前に一つだけ質問してみてください。
まずは、 「最近、特に気になっていることはありますか?」 で十分です。
そこで出てきた言葉を聞き、 必要であれば、 「それについて、今日は何を一番知りたいですか?」 と続けます。
いきなり完璧なヒアリングをしようとしなくても大丈夫です。
一つずつ質問し、 相手の答えを聞きながら、 今日扱うテーマを一緒に決めていくことから始めてみてください。
まとめ
クライアントが 「みてください」 としか言えないからといって、 相談したいことがないとは限りません。
悩みが整理できていなかったり、 何を質問すればよいかわからなかったり、 何も話さなくてもわかってもらえると思っていたりする場合があります。
そのようなときに大切なのは、 提供者側がすぐに答えを出すことではありません。
「最近気になっていることはありますか?」 「今一番困っていることは何ですか?」 「それがわかったら、どうしたいですか?」 というように、 答えやすい質問を使いながら、 クライアントと一緒に相談内容を整理していきます。
ヒアリングができるようになると、 「何をみればいいかわからない」 という状態から、 「今日は何についてセッションするのか」 が明確になります。
そして、 セッションそのものも、 クライアントの目的に合わせて進めやすくなります。
要点
- 「みてください」としか言えない人にも、気になっていることがある場合が多い
- 最初から深い質問をせず、答えやすい質問から始める
- 「最近気になっていることはありますか?」は使いやすい質問の一つ
- 答えにくそうなときは、仕事・人間関係・自分自身などの選択肢を出してもよい
- 「それがわかったら、どうしたいですか?」で相談の目的を確認する
- 質問によって相手の答えを誘導しない
- スピリチュアルな解釈を先に決めず、まず本人の話を聞く
- ヒアリングの目的は、クライアントと一緒に相談テーマを整理すること
よくある質問
質問をたくさんすると、リーディングに影響しませんか?
必要な範囲で相談内容や目的を確認することは、 セッションの方向を合わせるために役立ちます。 何をどこまで聞くかは、 自分のセッション方法に合わせて調整するとよいでしょう。
クライアントが本当に何も話したくないと言ったらどうしますか?
まずは、 そのセッションでどこまで情報が必要なのかを説明するとよいでしょう。 「詳しい事情まで話さなくても大丈夫ですが、今日は何について知りたいのかだけ教えてください」 など、必要な範囲を伝える方法があります。
選択肢を出すと誘導になりませんか?
選択肢を答えとして押しつけると誘導になりますが、 話し始めるきっかけとして使うことはできます。 「この中に近いものはありますか?なければ別のことでも大丈夫です」 と伝えると、自由に答えてもらいやすくなります。
どこまでヒアリングしたらリーディングを始めればよいですか?
少なくとも、 「何について扱うのか」 「何を知りたいのか」 「それを知ってどうしたいのか」 がある程度見えてくると、 セッションを始めやすくなります。
相手が話しているうちに相談内容が変わっても大丈夫ですか?
大丈夫です。 話しているうちに、 本当に気になっていることが見えてくる場合があります。 そのときは、 「最初は仕事の話でしたが、今はこちらのことが一番気になっていますか?」 と確認しながら進めるとよいでしょう。
次回予告
Day3では、 実際のセッションで起こりやすい 「うまくいかないヒアリング」と 「相談が整理されるヒアリング」の違いを、 説明用の仮想ケースを使って具体的に見ていきます。
同じ「みてください」という相談でも、 最初の返し方や質問の仕方によって、 セッションの流れがどのように変わるのかを整理します。
相談について
「質問しているつもりなのに、クライアントの話がまとまらない」 「どこまで聞けばよいのかわからない」 「リーディングとヒアリングのバランスをどう取ればよいかわからない」 と感じている場合は、 自分のセッションの流れそのものを一度整理してみることも大切です。
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