
なぜ講師ほど、自分を認めにくくなるのか?
Day1では、「講師である自分自身を、私はどれくらい認めているだろう」という問いを扱いました。
そこで気づくことがあったとしても、次にこんな疑問が出てくるかもしれません。
「自分を認めたほうがいいことは分かっている。でも、なぜか自分には厳しくなってしまう」
これは、単純に自分を大切にできていないからとは限りません。
講師という立場になることで、知らないうちに「こうあるべき」という条件を自分に増やしている場合があります。
今回は、その背景を整理していきます。
この記事の要約
講師が自分を認めにくくなる背景には、「先生だから迷ってはいけない」「人に伝えるなら自分はできていなければならない」「もっと成長し続けなければならない」といった思い込みが関係していることがあります。大切なのは、その考えをすぐに捨てることではありません。まず「私は今、こう考えているんだ」と受け止めることです。自分を直す前に、自分の状態を知ることが、自分自身を認める第一歩になります。
目次
講師という役割が、自分への条件を増やすことがある
講師として活動し始めると、以前とは違う見られ方をするようになります。
受講生から質問を受けたり、相談されたり、考えを求められたりする機会も増えていきます。
その中で、少しずつ、
「私は教える側なのだから」
「私は導く側なのだから」
という意識が強くなることがあります。
この意識そのものが悪いわけではありません。
責任を持って仕事をするために必要な面もあります。
ただ、その責任感が強くなりすぎると、自分に対して必要以上の条件をつけることがあります。
たとえば、
- いつも前向きでいなければならない
- 迷ってはいけない
- 感情的になってはいけない
- 自信がなければ講師をしてはいけない
- 受講生より分かっていなければならない
- 弱いところを見せてはいけない
こうした条件が増えていくほど、自分をそのまま見ることが難しくなっていきます。
「今の自分」を見る前に、
「講師として正しい自分かどうか」
を確認するようになるからです。
「講師なのだから」という思い込み
自分を認めにくくしている言葉の一つが、
「講師なのだから」
かもしれません。
たとえば、
「講師なのだから、こんなことで悩んではいけない」
「スピリチュアルなことを伝えているのだから、もっと自分のことを分かっていなければならない」
「人に自分を大切にしてと言っているのだから、私は完璧にできていなければならない」
そんなふうに考えてしまうことがあります。
しかし、知っていることと、いつでも実践できることは別です。
人に伝えられることと、自分が一度も迷わなくなることも別です。
たとえば、休むことの大切さを知っていても、忙しい時期には無理をしてしまうことがあります。
人と比べなくていいと分かっていても、他の講師の活躍を見て焦ることもあるでしょう。
それは、「講師として失格」という意味ではありません。
むしろ、自分の中にも迷いや揺れがあることを認識することが大切です。
ここでも、最初にすることは解決ではありません。
「私は、講師だからこうしなければならないと思っているんだな」
と気づくことです。
他の講師と比べるほど、自分が見えにくくなる
30代以降で講師活動をしていると、同じ分野で活動している人を見る機会も多くなります。
SNSでは、
- たくさんの受講生がいる人
- 講座が満席になっている人
- 発信が上手な人
- 自信を持って話している人
- 大きな実績を紹介している人
が目に入りやすくなります。
すると、自分の現在地を見るよりも、
「私はあの人よりできているか」
「私はまだ足りないのではないか」
という見方になりやすくなります。
ここで起こるのは、自分を見る基準が外側へ移っていくことです。
本当は、
「私は今、何を大切にしているのか」
「私はどんな人を支えたいのか」
「私はこれまで何を続けてきたのか」
を見ることも大切です。
ところが比較が続くと、
「足りないところ」
ばかりが目につくようになります。
そうなると、自分を認めることは難しくなります。
認める材料を、自分の中ではなく、他人との差の中から探すようになるからです。
認める前に「直そう」としていないか
自分を認めにくい人ほど、何かに気づいたとき、すぐに直そうとすることがあります。
たとえば、
「私は人と比べてしまっている」
と気づいた直後に、
「比較するのをやめなければ」
と考える。
「不安を感じている」
と気づいたら、
「もっと自信を持たなければ」
と考える。
「疲れている」
と感じたら、
「もっと整えなければ」
と考える。
一見、前向きに見えます。
でも、その前に一つ抜けていることがあります。
「今の自分は、そうなんだ」と認めることです。
直すことを急ぐと、
「今の私は間違っている」
という前提になりやすくなります。
すると、変わろうと頑張っているはずなのに、いつまでも自分を否定し続けることになります。
まず、
「私は今、不安なんだ」
「私は比べてしまっているんだ」
「私は今、疲れているんだ」
と受け止める。
そのあとで、
「では、どうしたい?」
と考える。
この順番を意識してみてください。
受け入れる前に、まず受け止める
「自分を受け入れましょう」と言われても、すぐにできないことがあります。
たとえば、
「人から認めてもらいたい自分なんて嫌だ」
「嫉妬している自分を受け入れたくない」
「自信がない自分なんて認めたくない」
と思うこともあるでしょう。
そのときに、無理に、
「そんな自分も大好き」
と思おうとする必要はありません。
最初は、
「私は今、認めてもらいたいと思っている」
「私は今、あの人を見てうらやましいと思っている」
「私は今、自信がなくなっている」
と、ただ受け止めるだけでも十分です。
受け止めるというのは、その感情に賛成することではありません。
その状態をずっと続けると決めることでもありません。
「今、私の中にこれがある」
と確認することです。
自分を受け入れることが難しいときほど、「まず受け止める」という考え方が役立ちます。
講師としての自分と、一人の自分を分けてみる
講師活動が長くなるほど、「講師としての自分」が大きくなっていきます。
発信するときも、誰かと話すときも、
「講師としてどう見られるか」
を意識するようになります。
そこで、一度分けて考えてみてください。
講師としての私は、何を求められているだろう。
そして、
一人の人としての私は、今何を感じているだろう。
この二つは、いつも同じである必要はありません。
講師として落ち着いて話していても、内側では少し緊張していることがあります。
受講生を励ましている日でも、自分自身は少し疲れていることがあります。
それを隠すかどうかとは別に、まず自分自身が知っていることが大切です。
「私は今、こう感じている」
と自分が分かっているだけでも、自分への接し方は変わっていきます。
今日できるセルフチェック
次の言葉のうち、普段自分に言っているものがないか確認してみてください。
- もっとできなければ
- 講師なのだから
- これくらいできて当然
- まだまだ足りない
- こんなことで悩んではいけない
- もっと成長しなければ
- 人に弱いところを見せてはいけない
当てはまるものがあったら、その言葉を消そうとしなくて大丈夫です。
その代わりに、後ろへ一言つけてみてください。
たとえば、
「もっとできなければ、と思っているんだな」
「講師なのだから迷ってはいけない、と思っているんだな」
という形です。
「私はダメだ」ではなく、
「私は今、そう考えている」
に変える。
それだけで、自分と考えの間に少し距離をつくることができます。
今日持ち帰ってほしいこと
講師が自分を認めにくくなるのは、単純に自己肯定が足りないからとは限りません。
「講師なのだから」「もっとできなければ」という条件を、自分にたくさんつけていることがあります。
大切なのは、その条件を今すぐ全部なくすことではありません。
まず、
「私は、自分にこんな条件をつけていたんだ」
と気づくこと。
そして、すぐに変えようとする前に、
「今の私は、そう思っているんだな」
と受け止めることです。
自分を認めることは、自分を変えなくなることではありません。
自分を否定するところから変わろうとするのではなく、今の自分を知った上で次を選べるようになることです。
まとめ
- 講師という役割が、自分への「こうあるべき」を増やすことがある
- 「講師なのだから」という考えが、自分を認めにくくする場合がある
- 他の講師との比較が続くと、自分の価値を外側の基準で判断しやすくなる
- 気づいたことをすぐ直そうとせず、まず今の状態を受け止めることが大切
- 受け入れられないときは、無理に肯定せず「今そう感じている」と確認することから始めてよい
よくある質問
講師として自分に厳しくすることは悪いことですか?
悪いことではありません。責任感や向上心につながることもあります。ただ、自分への厳しさが強くなり、何をしても「まだ足りない」と感じるようになっているなら、一度自分への接し方を見直してみてもよいでしょう。
人と比べてしまう自分も認めたほうがいいのでしょうか?
比較することを良いことだと思う必要はありません。「今、私は比べている」と気づくだけで十分です。そのうえで、自分は本当は何を大切にしたいのかを考えていきます。
自分を受け止めると、甘えてしまいませんか?
受け止めることと、何もしないことは別です。今の状態を確認した上で、休む、見直す、学ぶ、行動するなど、自分に必要な選択を考えることができます。
講師なら弱いところを見せたほうがいいのでしょうか?
必ず見せる必要はありません。自分の内面をどこまで伝えるかは、仕事上の境界や相手との関係を考えて決めることが大切です。まず必要なのは、他人に見せることではなく、自分自身が自分の状態に気づいていることです。
自分では気づきにくい「こうあるべき」を整理したいときは
自分にどんな条件をつけているのかは、自分一人では気づきにくいことがあります。
「講師としてもっと頑張る方法」を探す前に、今の自分が何を感じ、何を背負っているのかを整理する時間を持つことも一つの方法です。
誰かに答えを決めてもらうのではなく、自分の中にある考えや気持ちを整理する場として相談を利用することもできます。